魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
半ばラスに襲われそうになって俄然コーフン真っ只中のコハクは、ラスを壊さないように…大切に大切に、愛を込めて、包み込むように抱いた。
この身体に巡るのは、人としての血と、濃い魔力の宿った水晶の液体が流れている。
果たしてそんな…人かもわからないような自分が子を為すことができるのか?
それも疑問だったが、どうしてもラスとの間に子供が欲しい。
満たしてやるのだ。
様々なもので。
与えてやりたい。
与えてもらえなかったものを、全て――
「コー、ちょっと、待って…疲れちゃった…」
身体の下のラスが息を荒げ、胸を押してきたので、隣に寝転がるとラスが胸にしなだれかかり、額に張り付いた金糸のような髪を払ってやった。
「ごめん、乱暴だったか?」
「ううん、そんなことないよ。……」
「ん?なんだよ、なんか顔についてるか?」
ラスに見つめられ、元々大きなグリーンの瞳がさらに見開かれると、右目の瞼にちょんと指先で突かれた。
「“虎死して、則ち精魂地に入りて石と為る。それすなわち琥珀なり”」
「へ?なんだよそれ…」
ラスの口から出た言葉はなんだか小難しい響きで、いつもぽやっとしているラスが突然そんな聴き慣れないことを言ったので、頬杖を突くとラスの鼻を人差し指で押した。
「意味知りたい?教えてあげよっか?」
「ん、知りてえ」
コハクに何か教えてあげられることができたラスは嬉しそうに笑い、コハクの瞼にキスをした。
「どこかの国の言葉なんだけど、虎が死んだ後、魂が石になったんだって。コーの名前はその国で琥珀っていう字なの。でも本当は“虎魄”っていう字なんだって。それにね、コハクっていう石があって、真っ赤なのもあるの。コーの瞳の色みたいなやつ」
「へえ…難しいこと知ってんだな。調べたのか?」
「うん、琥珀を見つめたり触ったりしてるとリラックスできたり気持ちが明るくなれるんだって。名は体を現わすって本当だね。コーの瞳、見てると落ち着くもん。コー、こっち見て?」
「…や、今…目から水が出てっから、あーとーでー」
ラスに背を向け、指先で涙を弾いた。
生涯大切にしよう。
そう思った。
この身体に巡るのは、人としての血と、濃い魔力の宿った水晶の液体が流れている。
果たしてそんな…人かもわからないような自分が子を為すことができるのか?
それも疑問だったが、どうしてもラスとの間に子供が欲しい。
満たしてやるのだ。
様々なもので。
与えてやりたい。
与えてもらえなかったものを、全て――
「コー、ちょっと、待って…疲れちゃった…」
身体の下のラスが息を荒げ、胸を押してきたので、隣に寝転がるとラスが胸にしなだれかかり、額に張り付いた金糸のような髪を払ってやった。
「ごめん、乱暴だったか?」
「ううん、そんなことないよ。……」
「ん?なんだよ、なんか顔についてるか?」
ラスに見つめられ、元々大きなグリーンの瞳がさらに見開かれると、右目の瞼にちょんと指先で突かれた。
「“虎死して、則ち精魂地に入りて石と為る。それすなわち琥珀なり”」
「へ?なんだよそれ…」
ラスの口から出た言葉はなんだか小難しい響きで、いつもぽやっとしているラスが突然そんな聴き慣れないことを言ったので、頬杖を突くとラスの鼻を人差し指で押した。
「意味知りたい?教えてあげよっか?」
「ん、知りてえ」
コハクに何か教えてあげられることができたラスは嬉しそうに笑い、コハクの瞼にキスをした。
「どこかの国の言葉なんだけど、虎が死んだ後、魂が石になったんだって。コーの名前はその国で琥珀っていう字なの。でも本当は“虎魄”っていう字なんだって。それにね、コハクっていう石があって、真っ赤なのもあるの。コーの瞳の色みたいなやつ」
「へえ…難しいこと知ってんだな。調べたのか?」
「うん、琥珀を見つめたり触ったりしてるとリラックスできたり気持ちが明るくなれるんだって。名は体を現わすって本当だね。コーの瞳、見てると落ち着くもん。コー、こっち見て?」
「…や、今…目から水が出てっから、あーとーでー」
ラスに背を向け、指先で涙を弾いた。
生涯大切にしよう。
そう思った。