魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスが姫君たちと力を合わせて掃除をしていた時、リロイとティアラはドラちゃんに乗って小さな国を訪ねて回っていた。
もちろん伝説の生き物のドラゴンを見たことのない人々は驚き戦いたが、乗っている人物が…
「金の髪と金の瞳…白騎士の鎧……、勇者様だ!」
――もちろん、そうではない。
勇者などと呼ばれたくはなかったが、今は最大限知名度をフルに活かして皆の関心を引かなければ。
ドラちゃんと共に舞い降りればすぐに人だかりができ、配布していたビラはあっという間に無くなった。
皆が口々にクリスタルパレスへのルートを聴いてきたり、ビラに書かれているラスやティアラなど各王国の主要人物も豪華で、1番尋ねられるのは…
「クリスタルパレスに行けばラス王女たちを見ることができるのか?」
「誰がクリスタルパレスを統治するのか?」
こればかり尋ねられ、リロイとティアラは笑顔を崩さずに“会えますよ”と答え続けた。
「はあ…私…疲れました…」
「あなたは人見知りをするのに連れ回して申し訳ありません。さあ、これを飲んで下さい」
小国を訪ねた後、人気もなくかつ魔物の気配もない小川の傍で腰を下ろすと、ぺたんと座り込んだティアラの隣に腰かけた。
ケルベロスやドラちゃんはラスやコハクが居ない時は一言も言葉を発さず、ただじっと睨みつけてくる。
最初はそれが不気味だったが言うことを聞くし、2人でドラちゃんの細い瞳孔を見つめた。
「ラスは大丈夫かしら…。私はスノウ姫のことは知らないけど、なんだかいやな感じだったわ」
「僕もそう思いました。でもきっとグラースが傍についてくれていますから大丈夫でしょう」
作り笑顔を浮かべすぎて頬の筋肉が緊張してしまったままのティアラが小川に寄り、手で水を掬って顔を洗った。
もちろん化粧も取れてしまうのだが、リロイには以前素顔を見られているし、またすぐに化粧をすればいと考えて豪快に顔を洗っていると、リロイもそれに倣って一緒に顔を洗った。
「今日は早く戻りましょう。僕も…心配だから」
…“誰”を?
聴いてみたかったけれど、聴けずにまた顔を洗った。
もちろん伝説の生き物のドラゴンを見たことのない人々は驚き戦いたが、乗っている人物が…
「金の髪と金の瞳…白騎士の鎧……、勇者様だ!」
――もちろん、そうではない。
勇者などと呼ばれたくはなかったが、今は最大限知名度をフルに活かして皆の関心を引かなければ。
ドラちゃんと共に舞い降りればすぐに人だかりができ、配布していたビラはあっという間に無くなった。
皆が口々にクリスタルパレスへのルートを聴いてきたり、ビラに書かれているラスやティアラなど各王国の主要人物も豪華で、1番尋ねられるのは…
「クリスタルパレスに行けばラス王女たちを見ることができるのか?」
「誰がクリスタルパレスを統治するのか?」
こればかり尋ねられ、リロイとティアラは笑顔を崩さずに“会えますよ”と答え続けた。
「はあ…私…疲れました…」
「あなたは人見知りをするのに連れ回して申し訳ありません。さあ、これを飲んで下さい」
小国を訪ねた後、人気もなくかつ魔物の気配もない小川の傍で腰を下ろすと、ぺたんと座り込んだティアラの隣に腰かけた。
ケルベロスやドラちゃんはラスやコハクが居ない時は一言も言葉を発さず、ただじっと睨みつけてくる。
最初はそれが不気味だったが言うことを聞くし、2人でドラちゃんの細い瞳孔を見つめた。
「ラスは大丈夫かしら…。私はスノウ姫のことは知らないけど、なんだかいやな感じだったわ」
「僕もそう思いました。でもきっとグラースが傍についてくれていますから大丈夫でしょう」
作り笑顔を浮かべすぎて頬の筋肉が緊張してしまったままのティアラが小川に寄り、手で水を掬って顔を洗った。
もちろん化粧も取れてしまうのだが、リロイには以前素顔を見られているし、またすぐに化粧をすればいと考えて豪快に顔を洗っていると、リロイもそれに倣って一緒に顔を洗った。
「今日は早く戻りましょう。僕も…心配だから」
…“誰”を?
聴いてみたかったけれど、聴けずにまた顔を洗った。