魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスはきょとんとし、コハクは瞳を見開くと唇が少し開き、呆然とした。
一瞬…聴き間違いかと思った。
だがオーディンは祝いの言葉を言い、含み笑いを浮かべたまま振り向くとコハクに笑いかけた。
「あなたが望んでいたものが一気に2つも手に入るんですよ。出産時期は11月。それまでラス王女を安静に」
「……俺と…チビの…ガキ…?」
――とてもとても望んでいたことだが…
それでもわが耳を疑っていたコハクは部屋を出て行くオーディンの後ろ姿を呆然としたまま見送り、ドアが閉まっても動けずにいた。
「コー」
「…」
「ねえ、コー」
何度かラスに呼びかけられてようやくはっとなると、よろよろしながらひざまずき、ずっとにこにこしているラスを見つめた。
「ち、チビ…」
「赤ちゃんだよ。コーと私の赤ちゃんがここに来てくれたの。…嬉しくないの?」
「え!?う、嬉しいに決まってんじゃんか!でも…マジか?俺と…チビの?」
「パパはコーしか居ないよ。最近体調が悪かったのは赤ちゃんがお腹にやって来てくれたからだったんだね。ねえコー、触ってみる?」
ぎし、と音を立ててベッドに腰掛けたコハクの手がかじかんだ。
自分は人間だが…不死で、体内には血と液状になった水晶が巡っている。
だから子供はできないんじゃないかと疑っていた。
ラスが居てくれれば、自身を疑う気持ちも少しは晴れるだろうとマインドコントロールをしていた。
だから…だから…
「コーが触ってくれないんなら無理矢理触らせちゃうもん」
「へ?わ、おい、チビっ」
ラスがコハクの膝に乗っかると手を腹に導き、相変わらずにこにこしながらコハクの頬にキスをした。
…ラスと目を合わせていると、じわじわと実感してきた。
父親になるのだ、と。
「チビ…俺…どうしよう…めっちゃ嬉しい…」
「私もだよ。私たち、パパとママになるの。あと奥さんと旦那さんにもなるんだよ。私、魔法は使えないけど…沢山変身させてくれてありがとう。…コー、どうしたの?泣いてるの?」
涙が、零れた。
一瞬…聴き間違いかと思った。
だがオーディンは祝いの言葉を言い、含み笑いを浮かべたまま振り向くとコハクに笑いかけた。
「あなたが望んでいたものが一気に2つも手に入るんですよ。出産時期は11月。それまでラス王女を安静に」
「……俺と…チビの…ガキ…?」
――とてもとても望んでいたことだが…
それでもわが耳を疑っていたコハクは部屋を出て行くオーディンの後ろ姿を呆然としたまま見送り、ドアが閉まっても動けずにいた。
「コー」
「…」
「ねえ、コー」
何度かラスに呼びかけられてようやくはっとなると、よろよろしながらひざまずき、ずっとにこにこしているラスを見つめた。
「ち、チビ…」
「赤ちゃんだよ。コーと私の赤ちゃんがここに来てくれたの。…嬉しくないの?」
「え!?う、嬉しいに決まってんじゃんか!でも…マジか?俺と…チビの?」
「パパはコーしか居ないよ。最近体調が悪かったのは赤ちゃんがお腹にやって来てくれたからだったんだね。ねえコー、触ってみる?」
ぎし、と音を立ててベッドに腰掛けたコハクの手がかじかんだ。
自分は人間だが…不死で、体内には血と液状になった水晶が巡っている。
だから子供はできないんじゃないかと疑っていた。
ラスが居てくれれば、自身を疑う気持ちも少しは晴れるだろうとマインドコントロールをしていた。
だから…だから…
「コーが触ってくれないんなら無理矢理触らせちゃうもん」
「へ?わ、おい、チビっ」
ラスがコハクの膝に乗っかると手を腹に導き、相変わらずにこにこしながらコハクの頬にキスをした。
…ラスと目を合わせていると、じわじわと実感してきた。
父親になるのだ、と。
「チビ…俺…どうしよう…めっちゃ嬉しい…」
「私もだよ。私たち、パパとママになるの。あと奥さんと旦那さんにもなるんだよ。私、魔法は使えないけど…沢山変身させてくれてありがとう。…コー、どうしたの?泣いてるの?」
涙が、零れた。