魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その後グリーンリバーに住む医者を呼び出し、ラスが妊娠していることが正式に確認された。


確認作業が終わるまでコハクはずっとベッド上のラスの手を握っていて、医者の言葉を今か今かと待ち受けていた。


「おめでたです。王様、おめでとうございます!」


「王様とか言うんじゃねえよ、ここは王国じゃないんだ。それと…このことは伏せておいてくれ。わかったな?」


「おめでたいことですのに…」


初老の医者に口止めをして部屋から出すと、処方してもらったつわりに効くというカプセルをラスに手渡した。


「ほらこれ」


「お薬嫌いだもん」


「ベビーのためだろ?これから毎日俺が栄養つく料理作ってやるからな。チビは身体が疲れたらすぐ寝る!」


「うん、わかった」


すでに世話焼きなパパになる片鱗を見せるコハクと見つめ合い、ゆっくりと唇を重ね合った。

何度もついばむように繰り返した後、ぎゅうっと抱きしめてくれたコハクの背中を撫でながらラスがこそりと悪魔の誘惑を耳元で囁いた。


「コーを襲っちゃおうっかな」


「賛成!いやいやいやいや駄目駄目駄目!なに言ってんだ俺!なに言ってんだチビ!安静にしなきゃいけねえのに駄目!…いやでも…いやいやいやいや、駄目!」


絶賛葛藤中の魔王はいつの間にかラスからシャツのボタンを外され、わくわくさ加減が半端なくなり、ラスから襲われるというシチュエーションが実現しそうな事実に大コーフン。

ラスはその間もずっとにこにこしていて、シャツを脱がし終えると綺麗な鎖骨にちゅっとキスをした。


「いやならやめるよ。いや?やめよっか?」


「……続行でお願いします!」


結局誘惑には勝てず、2人でベッドに倒れ込み、ラスの腹を撫でた。


「ベビーがびっくりしねえかな。大丈夫かな…」


「ママが大丈夫だから大丈夫だよ。ねえコー、明日お父様にご報告に行こうね。コーがお父様に怒られそうになったら私が庇ってあげるから大丈夫だよ」


「そっか?じゃあそん時はよろしくな」


――小さな頃からラスはいつも庇ってくれる。

両手を大きく広げて背中に庇ってくれたことが今まで何度あったことか…


胸が熱くなったコハクはラスのお腹に数えきれないほどのキスを贈った。
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