魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスの身体はこれからどんどん変化してゆく。

こんなに細い身体では出産を耐えきることはできないだろう。

だからラスのために完璧な栄養食を。


…魔王は燃えていた。


「コー、お腹空いたな」


「あー、そういや俺も減った。じゃあなんか作ってきてやるよ。何がいい?」


「蜂蜜たっぷりのパンケーキ!」


「オッケ。他にもなんか色々作って来てやるからベッドから降りるなよ。絶対だからな!」


念を押されて頷くと、黒のパンツだけを穿いたコハクが部屋を出て行き、ラスは早速ベッドから降りた。


「コーは心配しすぎだよ。ね、ベビー」


――優しく優しく愛してくれた。

何度もあの細くて長くて綺麗な指が腹を撫でてくれて、家族が増える喜びを分かち合ってくれた。


自分はコハクを幸せにしてやれただろうか?

これからもずっとずっと、幸せにしてやれるだろうか?


「コーはいつも私のことばっかり考えてくれるから…それで幸せなのかな。コーの幸せって何なのかな。くしゅんっ」


くしゃみが出たので慌ててガウンを着ると、何かがこつこつと窓を叩く音が聞こえた。

ソファに座っていたラスが中腰になって音のした方を見ると、そこには…



「あっ!黄色い鳥さん!」


「やあ、こんにちは」



…喋った。

素晴らしく尾が長く、春の日差しのように柔らかい色で、ラスは…そんな鳥をもう2羽知っていた。


「天使さんの…お友達?」


「天使さん?」


バルコニーに出ると黄色い鳥は丸いテーブルの上にふわりと舞い降り、脚を畳んで座ると手を伸ばしたラスの指に頬ずりをした。


「碧い鳥さんと朱い鳥さんに会ったの。あのね、助けてもらったの。それでね、2人がとっても綺麗な男の人と女の人になって…」


「ああなるほどね。そうだよ僕も彼らの仲間。今日は彼らに頼まれてここにやって来たんだよ」


「え?どうして?」


椅子に座ったラスがきょとんとすると、黄色い鳥が翼を畳んで瞳を閉じた。

みるみる輪郭がぼやけ、人の形に伸び、黄色い鳥は金茶の髪のそばかすだらけの男の子になった。



「僕は黄色い鳥。碧い鳥や朱い鳥と同じで神様の鳥だよ。僕は今日君に祝福を授けに来たんだ。さあ、お腹に触らせて」



――受胎告知を受ける。
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