魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
今度はラスの膝に乗って一緒にパンケーキを食べている男の子を羨ましげに横目で見つつ、ラスに話しかけた。


「そういやチビ、狼男を覚えてるか?」


「おばあさんに変身してた狼?うん覚えてるよ。だってお腹の中に閉じこめられたもん」


切ったパンケーキを男の子に食べさせてやりながらラスが頷くと、コハクは爪先で床を叩いていらいらしながらブラックコーヒーを口にした。


「あの時チビが見つけたでっけえ鳥はあいつらだったんだぜ。俺が捕まえてやろうとしたけど逃げたろ?」


「あ、そういえば…。ねえ、碧い鳥さんたちは何をしてるの?」


「彼らは神様の使いとして神様の代わりに願いを叶えてあげてるんだよ。色々な星を回ってるからもう君とは会えないんじゃないかな」


「そうなの…?もっとお話ししたかったのに」


ラスがフォークを置くと、腕を組んで黙っていたコハクはラスの膝から男の子を追い払い、ラスの脇をさらって膝に乗せて髪を撫でた。


「神にまで届くような悲痛な叫びを上げてる奴らを救うために頑張ってるんだろ。チビの願いはこれから俺がぜーんぶ叶えてやるからな」


「うん、ありがとうコー」


「わあ、ご馳走様。アツアツだね」


コハクがラスを後ろ抱っこし、そのラスの膝に男の子が真向かいになってよじ登ると、ラスの腹を優しく撫でて笑った。


その笑顔は慈愛に溢れていて、男の子が上空を指差すと、ゆっくりと旋回している大きな鳥に手を振りながらラスの膝から降りてラスの頬にキスをした。


「迎えが来たからもう行くよ。僕ももう君たちに会うことはないだろうけど、安心してね。赤ちゃんは君たちを最高に幸せにしてくれるよ」


「ありがとう。元気でね」


――男の子が鳥の姿になって大空へと飛び立つと、邪魔者が居なくなってラスを独り占めできるようになった魔王はラスを抱っこして部屋の中へ運ぶとベッドに寝かせて隣に潜り込み、ラスの頬を突いた。


「結局ベビーが男なのか女なのか教えてくれなかったな」


「その方が楽しいよ。ねえコー、ビーストさんからもらったオレンジを剥いて欲しいな」


「んー」


コハクはどんどん優しくなる。

どんどん優しくなって、きっと優しいパパになってくれるだろう。

お腹の子が男でも女でも――
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