魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「ねえ、デスさんは何歳なの?」


「………」


「どうして手だけ骨なの?」


「………」


「奥さんは居るの?彼女が居るの?」


「………」


ドラちゃんやケルベロスの背は不安定に揺れるので、コハクは城の赤い絨毯を引っぺがしてそれに浮遊の魔法をかけて浮くようにする、とクリスタルパレスに向かう道中、ラスがずっとデスを構い続けているのをラスを後ろ抱っこしながら見ていた。


「もしかして私うるさい?でも興味があるの。あの大きな鎌で人の命を刈るの?」


「…………時々」


ようやく答えてくれたハスキーな声は耳触りがよく、コハクにもたれ掛りながら脚をばたばたさせた。


「コー、デスさんのフードの下が見たいな」


「そいつは太陽苦手なんだ。見ろよあの真っ白な肌。基本暗闇が好きだし、夜になるともしかしたら見れるかもな。それよりもチビ…俺を構ってくれよ」


ラスにべたべた触れてでれでれしているコハクを膝を抱えて見ていた…いや、鼻から上はわからないので見ていたかわからないが、こちらを見ていたデスは頬を指で…真っ白な骨の指で掻いた。


「その手動くの?ちょっと動かしてみせて?」


お願いしてみると、デスはラスに手を向けて白く細い骨の指を器用に動かして見せた。


「お肉がついてないだけで動くんだね。ねえ、夜まで居てね、一緒にご飯食べよ」


「…………腹は空かない」


「そいつは何も食べなくっていいんだ。味もわからねえんだってさ。でも酒の味はわかるんだよな」


「ふうん?でもみんなで食べると味がわかるようになるかもよ。ね、約束しよっ。指切りげんまんっ」


無理矢理デスの骨の小指に指を絡めて約束をすると、満足したラスは魔法の絨毯にころんと寝転がって景色を堪能し始めたが…デスはラスをじっと見つめていた。


「…………不思議な女だ」


「だろ?でも手は出すなよ。あ、お前は恋をしたことがなかったんだったな」


「………」


――コハクはデスのことが好きだ。

無口だが時々喋ると面白いことを言い、じつは天然なことも知っている。

一応牽制はするが、ラスには手出ししないことも知っている。


デスは小指をじっと見つめていた。

なんとなく小指があたたかくなった気がして、クリスタルパレスに着くまで小指を見つめ続けていた。
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