魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクがレモンティーを作って部屋に戻った時、ラスはちょこまかと動き回るフローズンを必死に追いかけ回していて、コハクを慌てさせた。


「ちょ、チビっ!ちゃんと寝てろって言っただろ!?」


「だって抱っこさせてくれないんだもん」


「抱っこなら俺がしてやるし!」


「…………」


デスは敢えて突っ込みを入れずにソファに膝を抱えて座り、ラスはコハクに捕まってしまうとベッドに戻されてガウンやマフラーを着せられ、もこもこの帽子を被らされて唇を尖らせた。


「コー、これじゃ動けないよ」


「動かなくっていいの!ほらこれ飲んだらあったまるから飲んでじっとしてろって」


ベッドで飲むにはアンバランスで零れそうだったので、ベッドから降りてソファに移動する間もコハクがはらはらしながらついて来るのがだんだん面白くなってきたラスがわざと態勢を傾けてみると、案の定焦りまくったコハクが肩を抱いてきた。


「チビ!?どした?!お腹痛いか!?」


「ううん、なんでもないよ。コーは心配しすぎだよ、赤ちゃんが生まれるまでそうしてるつもりなの?」


「あったりまえだろ。だって俺、パパだもん」


テーブルを挟んでデスの前に座ったラスはデスの座り方がおかしくて同じように両膝を折ってソファに座りながらレモンティーを飲んだ。


その間デスはラスの身体の中心あたりをじっと見ているような気がして、早速魔王からイエローカードが出された。


「こらそこ!お前チビのどこ見てんだ?腹か?いやいや…胸?いやいやいやまさか…腹の下!?このむっつり!エロい目でチビを見んなつっただろうが!」


「……言いがかり…」


ぼそりと呟いたデスは熱いレモンティーをストローで飲んでいて、面白い人物だと判断したラスは身を乗り出してデスのフードの下の顔を覗き込んだ。


「ご飯一緒に食べてくでしょ?灯りは蝋燭だけだったら大丈夫?みんなにも紹介したいからまだ戻らないでくれると嬉しいな」


「……………わかった」


微かにはにかんだように見えたデスがレモンティーを飲み切ると、ラスは自分の分を手渡してベッドに戻り、傍らに座ったコハクの指を握った。


「またちょこっとだけ寝るね。コー、ここに居て」


「ん。つかデス…お前それ間接チューじゃね!?よこせ!」


ラスの分のレモンティーを飲みはじめたデスに喝が飛んだ。
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