魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
安らかな寝顔のラスを見たコハクは、それが永遠になる予定だったことを悟り、居ても立っても居られなくなってラスの肩を優しく揺すった。


「チビ…チビ…」


「…ん…、コー…?お話は終わったの…?」


目を擦りながら可愛い声で返してくれたラスにほっとして胸がじんと熱くなると、コハクは無言で椅子に座り、両手で顔を隠した。

…恐ろしいことになるところだった…。

デスがラスの腹を触らなければ…一体どんな未来が待ち受けていたのか――

コハクの力を持ってしても、未来がどんなものになるのかは捉えることができない。


――今すぐラスを不死の身体にすれば…最悪の未来は防げたのだろうか?

何もかもが“もしも”だらけで、はじめて未来に不安を覚えたコハクはラスが起き上がって膝に座ってくるまで全く気付けずにいた。


「よいしょ」


「!チビ…」


「コーがそんな顔をしてる時って大体私のことで悩んでくれてる時だもんね。お腹の赤ちゃんが…生まれて来れないの?もしかして…私にも何かが起きちゃうの?」


「…いいや、そんなことにはならない。デスが言ってたぜ、“大切にしていたらちゃんと生まれてくる”って。だから俺は今以上にチビを大切にするから…うざがるなよ。頼むから…」


声はか細く、だがラスはちゃんとそれを聞き届けるとコハクの頭を撫でながらにこっと微笑んだ。


「うん、わかった。あのね、本にも書いてあったの。今が1番大事な時期だから色々用心しなきゃ駄目だって。だからちゃんと気を付けるから。ね?」


「…ん、わかった。デスが妙な間を持っちまったからチビも不安になったろ?でも何も悪いことは起きねえから。あいつ反省してたぜ」


「私が悪い方に取っちゃったから…私が謝らなきゃ。デスさんどこに居るの?」


「どっかに居るとは思うけど…チビ!俺の言ってることちゃんとわかったか?」


…なんとなくコハクに叱られた気がしたラスは頬をぷくっと膨らませながらもベッドに戻り、ぽんぽんと隣を叩いた。


「コー、一緒に寝て。お腹撫でて。ぎゅってして。ちゅってして」


「はいはい。ったく…さっき泣きそうになってたの見てすっげ心配したんだからな」


「だって…ううん、もう終わったことだしいいの。心配かけてごめんねコー」


…済んだことはもうよそう。

2人で何度も腹を撫でた。
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