魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「じゃあチビはソフィーんとこな」
「うん、わかった。コー、お父様をいじめちゃ駄目だよ」
「なにい?いじめられるのは俺の方だっつーの。足元見て歩けよ。階段下りる時は手すりに掴まって…」
「うん、うん。じゃあねコー」
最後まで話を聴かずに小走りに3階の王族の私室のあるフロアに行ってしまってはらはらしつつも、コハクは2階の玉座の前へ着くと扉の前を固めている2人の白騎士に馴れ馴れしく声をかけた。
「よう、ちょっとカイに話があるんだけど」
「…リロイ隊長は一緒じゃないのか?」
「ああ?一緒じゃねえよなんで一緒に行動しなきゃなんねんだよ」
…白騎士は王族の護衛を務めるため、隊長であるリロイは常にラスの傍に居なくてはならない。
白騎士の面々もあまり状況は呑み込めていなかったが、ラスが一緒に帰ってきたことはすでに耳に入っていたので無言で扉の前を譲り、コハクは意気揚々と…いや、若干緊張しながら扉を押して中へと入った。
赤い絨毯が真っ直ぐに伸びた先に、問題の件の人物は居た。
…十数年前、死にたいがために本気を出さずにこの勇者に倒された。
いや、あの時のカイの実力も相当なものだったが、ほとんど攻撃らしい攻撃もせずにこの勇者に倒されることを望んだのだ。
「魔王か。何の用だ?」
「真面目な話があって来た。ちなみに大ゲンカになるかもしんねえから他の奴らは避難させといた方がいいぜ」
玉座には脚を組み、何かの巻物を読んでいたカイが顔を上げた。
…ラスは父親似だ。
やや童顔ではあるが、ラスとよく似た笑顔を浮かべ、手を振って近くに居た執事や白騎士たちを部屋から出すと、コハクはカイの前に立ち、じっと見つめ合った。
「気持ち悪い。早く用件を言ってくれ」
「…こっちは真剣なんだから急かすなよ」
――真面目な表情のコハクに何かを感じ取ったカイは、組んでいた脚をゆっくり解くと背もたれにもたれかかり、先を促した。
「そちらの準備が整ったら声をかけてくれ。私は忙しい」
「…チビが妊娠した。もちろん父親は…俺だ」
「…なに?」
すう、と瞳が細くなった。
カイを激怒させることは必至だったので、コハクは何をされても耐えようという心構えで殺気の膨らむカイと、対峙した。
「うん、わかった。コー、お父様をいじめちゃ駄目だよ」
「なにい?いじめられるのは俺の方だっつーの。足元見て歩けよ。階段下りる時は手すりに掴まって…」
「うん、うん。じゃあねコー」
最後まで話を聴かずに小走りに3階の王族の私室のあるフロアに行ってしまってはらはらしつつも、コハクは2階の玉座の前へ着くと扉の前を固めている2人の白騎士に馴れ馴れしく声をかけた。
「よう、ちょっとカイに話があるんだけど」
「…リロイ隊長は一緒じゃないのか?」
「ああ?一緒じゃねえよなんで一緒に行動しなきゃなんねんだよ」
…白騎士は王族の護衛を務めるため、隊長であるリロイは常にラスの傍に居なくてはならない。
白騎士の面々もあまり状況は呑み込めていなかったが、ラスが一緒に帰ってきたことはすでに耳に入っていたので無言で扉の前を譲り、コハクは意気揚々と…いや、若干緊張しながら扉を押して中へと入った。
赤い絨毯が真っ直ぐに伸びた先に、問題の件の人物は居た。
…十数年前、死にたいがために本気を出さずにこの勇者に倒された。
いや、あの時のカイの実力も相当なものだったが、ほとんど攻撃らしい攻撃もせずにこの勇者に倒されることを望んだのだ。
「魔王か。何の用だ?」
「真面目な話があって来た。ちなみに大ゲンカになるかもしんねえから他の奴らは避難させといた方がいいぜ」
玉座には脚を組み、何かの巻物を読んでいたカイが顔を上げた。
…ラスは父親似だ。
やや童顔ではあるが、ラスとよく似た笑顔を浮かべ、手を振って近くに居た執事や白騎士たちを部屋から出すと、コハクはカイの前に立ち、じっと見つめ合った。
「気持ち悪い。早く用件を言ってくれ」
「…こっちは真剣なんだから急かすなよ」
――真面目な表情のコハクに何かを感じ取ったカイは、組んでいた脚をゆっくり解くと背もたれにもたれかかり、先を促した。
「そちらの準備が整ったら声をかけてくれ。私は忙しい」
「…チビが妊娠した。もちろん父親は…俺だ」
「…なに?」
すう、と瞳が細くなった。
カイを激怒させることは必至だったので、コハクは何をされても耐えようという心構えで殺気の膨らむカイと、対峙した。