魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その声は高かったがけして耳障りではなく、聴いていて耳がくすぐったいような…だけどずっと聴いていたいような可愛らしさに溢れていた。
舞い降りた黒いドラゴン…ドラちゃんは喉をごろごろ鳴らして甘えたような小さな鳴き声を上げるとラスに鼻の頭をくすぐってもらってご満悦になり、ラスはコハクを見つけた途端走り出した。
「あーっ!こら、走るなって!」
「コー!置いてくなんてひどいよっ」
「だってチビ寝てたし。起こすの悪いじゃんか」
「起こしてほしかったな。わあ、みんな集まって何を話してたの?私も混ざっていい?」
「あ、あ、あの、どうぞこの椅子を!」
皆は直に大地に座っていたのだが、美姫として名を馳せ、強国の王女のラスと、一緒についてきたティアラの綺麗なドレスを汚すわけにはいかないと思った男がテントの中から2脚の椅子を慌てて持ってきたが…
「コー、抱っこ」
「はいはい」
ラスが選んだのはコハクの膝の上で、何故か余った方の椅子にはさっきまでぴくりとも動かなかったデスがささっと機敏に立ち上がると、コハクの隣にぴったり椅子を寄せて膝を抱えて座った。
――人々はコハクの頬や唇にキスをしているラスに見入った。
…間違いなくこの男がラスのフィアンセなのだと確信し、またさっきまでほとんど笑顔を見せなかった男…コハクが女なら確実にオチてしまう笑顔を見せていちゃついている光景から目を離せなかった。
「リロイ、ご苦労様。みんなと仲良しになれた?あ、デスだ。いい子いい子してあげる」
「………えへ」
フードを目深に被っているので人々からデスの表情は見えなかったが、口元に笑みを掃いているのだけは見えて、椅子から降りたデスがラスに頭を撫でてもらっていると、コハクの唇が思いきり尖った。
「俺の天使ちゃんに何してもらってんだよてめえ」
「…………いい子いい子」
コハクが今にも怒鳴りそうになった時、ラスが皆を見回してひとりひとりに笑いかけたので、人々はかちんこちんに緊張しながらもラスに見惚れた。
「みんなが幸せになれて協力し合える王国…ううん、国にしようね。私たちがお手伝いするから一緒に頑張ろ」
「は、はい!」
力強い返事が返って来て、コハクはラスの偉大さに溜飲を下げた。
舞い降りた黒いドラゴン…ドラちゃんは喉をごろごろ鳴らして甘えたような小さな鳴き声を上げるとラスに鼻の頭をくすぐってもらってご満悦になり、ラスはコハクを見つけた途端走り出した。
「あーっ!こら、走るなって!」
「コー!置いてくなんてひどいよっ」
「だってチビ寝てたし。起こすの悪いじゃんか」
「起こしてほしかったな。わあ、みんな集まって何を話してたの?私も混ざっていい?」
「あ、あ、あの、どうぞこの椅子を!」
皆は直に大地に座っていたのだが、美姫として名を馳せ、強国の王女のラスと、一緒についてきたティアラの綺麗なドレスを汚すわけにはいかないと思った男がテントの中から2脚の椅子を慌てて持ってきたが…
「コー、抱っこ」
「はいはい」
ラスが選んだのはコハクの膝の上で、何故か余った方の椅子にはさっきまでぴくりとも動かなかったデスがささっと機敏に立ち上がると、コハクの隣にぴったり椅子を寄せて膝を抱えて座った。
――人々はコハクの頬や唇にキスをしているラスに見入った。
…間違いなくこの男がラスのフィアンセなのだと確信し、またさっきまでほとんど笑顔を見せなかった男…コハクが女なら確実にオチてしまう笑顔を見せていちゃついている光景から目を離せなかった。
「リロイ、ご苦労様。みんなと仲良しになれた?あ、デスだ。いい子いい子してあげる」
「………えへ」
フードを目深に被っているので人々からデスの表情は見えなかったが、口元に笑みを掃いているのだけは見えて、椅子から降りたデスがラスに頭を撫でてもらっていると、コハクの唇が思いきり尖った。
「俺の天使ちゃんに何してもらってんだよてめえ」
「…………いい子いい子」
コハクが今にも怒鳴りそうになった時、ラスが皆を見回してひとりひとりに笑いかけたので、人々はかちんこちんに緊張しながらもラスに見惚れた。
「みんなが幸せになれて協力し合える王国…ううん、国にしようね。私たちがお手伝いするから一緒に頑張ろ」
「は、はい!」
力強い返事が返って来て、コハクはラスの偉大さに溜飲を下げた。