魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その後ラスが“コロニーを見て回りたい”と言ったので、コハクはラスを抱っこし、脇をリロイとデスが固めた。

コロニー内にはパブがあったり食堂があったり、風呂場や病院があったり、生活環境が全て整っている。

全ての出資をゴールド、レッドストーン王国とグリーンリバーが担い、人々はそれに感謝して男はよく働き、女は洗濯や怪我の治療にあたる。

ラスはコハクの首に抱き着きながらコハクの後ろを歩くティアラにはしゃいだ声を上げた。


「ティアラっ、すごいね!もうここが街みたいっ」


「働きに応じて優先的に街に住める権利があるからみんな頑張ってるのよ。それをリロイが管轄してるって知ってた?」


「ううん、知らなかった…。リロイすごいね、いい子いい子」


隣を歩いていたリロイに手を伸ばして頭を撫でるとリロイが少しはにかみ、元々リロイに勇者像を抱いていたラスは少しぽうっとなってコハクに詰られた。


「俺が1番頑張ってると思うんだけどなー!」


「うん、知ってるよ。さっきティアラから荒れた開墾地を綺麗にするためにコーの力が必要だって聴いたよ」


「そう、それ!ノームたちを召喚して痩せた土を活性化させて、そんで野菜とか果物の種を植えて成長速度を倍にするんだ。これって俺にしかできないんだぜ、すごいだろ?」


「うん、すごいすごい。コーは天才の魔法使いだもん、なんでもできてすっごくかっこいいよ」


ラスにおだてられてでれが止めどなくなるど、左隣のデスがずっと俯いて歩いていることに気付いたラスはちょんちょんと頬をつついて関心を引かせると笑いかけた。


「グリーンリバーに戻ったらプレゼントがあるから楽しみにしててね」


「……プレ…ゼント…?」


「俺には!?チビ、俺には!?」


「コーには私をプレゼント」


「マジか!アレもコレもするけど待った無しだかんな!ああっ、マントが欲しい!お前そのローブ脱げ!」


「………いやだ」


俄然絶賛大コーフンのコハクの背中を剣の鞘で突いたリロイは、ティアラがコハクの餌食にならないように肩を抱いて反対側に離れさせると忠告をした。


「皆が見てる。少しはスポンサーらしい態度を取ってくれ」


「ふん、わかったよ。こうるせえ奴だな」


だがラスが楽しそうにしていたので、ラスに言われるがままにあちこちを見て回った。
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