魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「コー!聴いてっ」
完成した設計図を手に意気揚々と戻ってきたコハクは、いきなり抱き着いてきたラスを抱っこすると頬が上気しているのを見て首を傾げた。
「どした?まさか熱でもあるんじゃ…!」
「あのねっ、グラースとデスがねっ」
「グラース?」
2人が喧嘩でもしたのかと思ってテント内の隅に目を遣ると…
グラースがデスの隣に座って着ている真っ黒なローブを指でつまんで剥がそうとしていて、デスがローブを引っ張ってその指を剥がそうとしていて…
状況がうまく呑み込めていないコハクが腕の中のラスに視線を落とすと、ラスが首に抱き着きながら耳元でこっそりと解説をした。
「あのね、グラースがデスのこと好きなんだって」
「へっ?マジでか!意外すぎなんだけど!」
「見ててっ」
…実は魔王は強く抱き着いているラスの胸の感触に鼻息を荒くしてそれどころではなかったのだが、2人の会話は実に面白いものだった。
「今夜私の部屋に来ないか」
「…………どうして」
「色々教えてやる。楽しいことを」
「…………いい。やだ」
「どっちだ」
「…………やだ」
――グラースがデスを誘惑し、デスはグラースが視線に入らないようにずっと抱えた膝に顔を埋めている。
だがラスの話し声が耳に入ったのか、がばっと顔を上げるとすくっと立ち上がり、ちょこちょこと小走りに駆けてきてラスの頭をよしよしと撫でた。
「グラースとお話してていいよ?」
「………ううん。一緒…行く」
ラスにひっついて離れないデスに肩を竦めたグラースは、最高に性質の悪い笑みを浮かべているコハクを見止めると、ふっと鼻で笑った。
「落とし甲斐がある」
「なんなら縄で縛ってお前の部屋に放り込んでやろうか?チェリー卒業させてやれよ」
「やっぱりそうなのか?それはさらに楽しみが増えた」
あまりにも大人な会話に全くついていけてないラスはきょとん顔で、もちろんデスも同じらしく、もがいて降ろしてもらったラスはデスに正面から抱き着いた。
「グラースと仲良くしてね?」
「…………うん。多分…」
ラスの願いなら仕方なく。
コハクにはデスの心の声から聴こえた気がして、盛大なため息をついた。
完成した設計図を手に意気揚々と戻ってきたコハクは、いきなり抱き着いてきたラスを抱っこすると頬が上気しているのを見て首を傾げた。
「どした?まさか熱でもあるんじゃ…!」
「あのねっ、グラースとデスがねっ」
「グラース?」
2人が喧嘩でもしたのかと思ってテント内の隅に目を遣ると…
グラースがデスの隣に座って着ている真っ黒なローブを指でつまんで剥がそうとしていて、デスがローブを引っ張ってその指を剥がそうとしていて…
状況がうまく呑み込めていないコハクが腕の中のラスに視線を落とすと、ラスが首に抱き着きながら耳元でこっそりと解説をした。
「あのね、グラースがデスのこと好きなんだって」
「へっ?マジでか!意外すぎなんだけど!」
「見ててっ」
…実は魔王は強く抱き着いているラスの胸の感触に鼻息を荒くしてそれどころではなかったのだが、2人の会話は実に面白いものだった。
「今夜私の部屋に来ないか」
「…………どうして」
「色々教えてやる。楽しいことを」
「…………いい。やだ」
「どっちだ」
「…………やだ」
――グラースがデスを誘惑し、デスはグラースが視線に入らないようにずっと抱えた膝に顔を埋めている。
だがラスの話し声が耳に入ったのか、がばっと顔を上げるとすくっと立ち上がり、ちょこちょこと小走りに駆けてきてラスの頭をよしよしと撫でた。
「グラースとお話してていいよ?」
「………ううん。一緒…行く」
ラスにひっついて離れないデスに肩を竦めたグラースは、最高に性質の悪い笑みを浮かべているコハクを見止めると、ふっと鼻で笑った。
「落とし甲斐がある」
「なんなら縄で縛ってお前の部屋に放り込んでやろうか?チェリー卒業させてやれよ」
「やっぱりそうなのか?それはさらに楽しみが増えた」
あまりにも大人な会話に全くついていけてないラスはきょとん顔で、もちろんデスも同じらしく、もがいて降ろしてもらったラスはデスに正面から抱き着いた。
「グラースと仲良くしてね?」
「…………うん。多分…」
ラスの願いなら仕方なく。
コハクにはデスの心の声から聴こえた気がして、盛大なため息をついた。