魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスが外で待ってくれていたコハクの元に戻ると、ちょっとの会話でもすぐふてくされてしまうコハクの腕に抱き着いてにこーっと笑いかけた。


「コー、行こ。馬車でどの位?」


「飛ばすから1時間位で着けるけど。…それよか小僧なんか言ってたか?た、例えばさあ、またチビを口説いたり…」


「しないよ。リロイはいつも私を心配してくれるの。私…2年間も無視しちゃってたからそのことを謝ってきたの」


「そっか。じゃあまあ、行きますかー」


最近リロイと衝突することが少なくなってきているのは、リロイが少しずつ自分から距離を置き始めているから。

…本当に白騎士をやめてゴールドストーン王国を出て行くつもりらしく、それが自分のせいであることが本当に苦しくて胸が痛い。


水晶に手を出さなければ、あんなことにはならなかったかもしれない。

水晶は…人の心を操ってしまうのだから。


「わあ、たかーい!空気がおいしーい!」


「こらチビ!身を乗り出すなって!こっち来い!」


心配性のコハクが身を乗り出して窓から顔を出していたラスを引っ張り込むと膝に乗せて腹を擦った。

最近それがマイブームらしく、しきりに腹に触れては赤ちゃん言葉でベビーに呼びかけるコハクは外見とのギャップが激しすぎて面白い。


「ベビーも雷嫌いになっちまうかもしんねえから、音が聴こえなくしてあげまちゅからねー。パパはなんでもできるんでちゅよー」


「ふふふ、コーの親馬鹿」


――誰もが恐れて畏怖や恐怖を感じるという赤い瞳をラスはひたと見つめた。

…この瞳のどこが怖いのか?

こんなに綺麗できらきらしていて…ルビーよりもガーネットよりももっともっと輝いて見えるのに。

ティアラやリロイたちもコハクの瞳を真っ直ぐに見つめることは少ない。

真っ直ぐ見つめてしまうと、操られてしまいそうになるそうだ。


「そんなことないのに」


「ん?今なんか言ったか?」


「ううん、何も。ねえコー、やっぱりベビーはコーみたいに綺麗な赤い瞳だったらいいな。いや?」


コハクにとってはこの血に濡れた赤い瞳のせいで親から水晶の森に捨てられた、という忘れられない生い立ちがある。

だが自分は…自分たちは、あんなことは絶対にしない。


だから…小さく笑って首を振った。
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