魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ウンディーネが急速にコハクに近づき、血の海に沈んだコハクの顔を覗き込んだ。
右手が地面に爪を立て、前進しようとしているかに見えた。
そして赤い瞳からすう、と光が消えてゆく瞬間。
リロイは中から聴こえた物音に気を取られてコハクに気付いていない。
『精霊界に運ぶわ!』
『でももう助からな…』
『死なせない!魔王が…コハクが居なくなったら私たち、この世界と本当に接点が何も無くなってしまう!』
その悲痛な叫びはラスの悲鳴と重なり、共鳴する。
目を逸らしたいのに逸らせない。
ウンディーネの視点から見るコハクはすぐさまウンディーネとシルフィードによって抱き上げられ、異世界の扉を開けると大量に出血し続ける左胸に手をあてて祈りを込めた。
『魔王の身体に流れる血よ…水よ…!私に従いなさい。私こそがお前たちの主。私こそが、お前をコントロールできる唯一の主!さあ、止まりなさい!』
コハクの顎がかくんと上向きになり、瞳が閉じた。
ラスはなおコハクの名を呼び続けたが、見えるのはやはり、ウンディーネからの視点だけ。
…コハクは生きているのだから、つらくないはずなのに…
それでもこの2年間、コハクがどうやってウンディーネたちに救われたのかを知ることができるのに…胸が痛くて張り裂けそうで、口からついて出るのはコハクの名ばかり。
『ウンディーネ、血が止まったわ…!…?なに、これ…水晶…?』
精霊界の扉を開けて幾許もしないうちにコハクの胸に無残に空いていたはずの穴には、透明の膜のようなものがじわじわと広がり、覆われた。
コハクの体内に流れる水晶。
内に流れる水晶と、外部から…魔法剣から流れ込んだ水晶の力が衝突した結果、打ち勝ったのは、内なる水晶。
同化した力は共に宿主のコハクを生かすための防衛本能を発揮し、傷口を塞いだのだ。
――だがそんな事情を知らないラスは、ただただその奇跡に感謝をした。
「コーのお母さん…!ありがとう…コーを助けてくれて、ありがとう…!」
目も開いていないうちに捨てられた赤子のコハクに水晶の力を与えて生かした水晶の女王に感謝を。
『とにかく城へ。ノームとサラマンダーも呼んで!』
四精霊総出で、コハクを助ける。
右手が地面に爪を立て、前進しようとしているかに見えた。
そして赤い瞳からすう、と光が消えてゆく瞬間。
リロイは中から聴こえた物音に気を取られてコハクに気付いていない。
『精霊界に運ぶわ!』
『でももう助からな…』
『死なせない!魔王が…コハクが居なくなったら私たち、この世界と本当に接点が何も無くなってしまう!』
その悲痛な叫びはラスの悲鳴と重なり、共鳴する。
目を逸らしたいのに逸らせない。
ウンディーネの視点から見るコハクはすぐさまウンディーネとシルフィードによって抱き上げられ、異世界の扉を開けると大量に出血し続ける左胸に手をあてて祈りを込めた。
『魔王の身体に流れる血よ…水よ…!私に従いなさい。私こそがお前たちの主。私こそが、お前をコントロールできる唯一の主!さあ、止まりなさい!』
コハクの顎がかくんと上向きになり、瞳が閉じた。
ラスはなおコハクの名を呼び続けたが、見えるのはやはり、ウンディーネからの視点だけ。
…コハクは生きているのだから、つらくないはずなのに…
それでもこの2年間、コハクがどうやってウンディーネたちに救われたのかを知ることができるのに…胸が痛くて張り裂けそうで、口からついて出るのはコハクの名ばかり。
『ウンディーネ、血が止まったわ…!…?なに、これ…水晶…?』
精霊界の扉を開けて幾許もしないうちにコハクの胸に無残に空いていたはずの穴には、透明の膜のようなものがじわじわと広がり、覆われた。
コハクの体内に流れる水晶。
内に流れる水晶と、外部から…魔法剣から流れ込んだ水晶の力が衝突した結果、打ち勝ったのは、内なる水晶。
同化した力は共に宿主のコハクを生かすための防衛本能を発揮し、傷口を塞いだのだ。
――だがそんな事情を知らないラスは、ただただその奇跡に感謝をした。
「コーのお母さん…!ありがとう…コーを助けてくれて、ありがとう…!」
目も開いていないうちに捨てられた赤子のコハクに水晶の力を与えて生かした水晶の女王に感謝を。
『とにかく城へ。ノームとサラマンダーも呼んで!』
四精霊総出で、コハクを助ける。