魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
急きょ呼び出されたサラマンダーは、身体から力が抜けて死んでいるように見えるコハクを見て、赤い蜥蜴から人型へと姿を変えた。
『…何かが起こったと思っていた』
『私たちの城へ運んで。全員で魔王を助けなきゃ。私たちを召喚できて、私たちを頼ってくれるのは…もう魔王しか居ないのよ。あんただって暴れられなくなるのよ、いいの?』
『…』
ウンディーネの腕に抱かれていたコハクを乱暴に肩に担いだサラマンダーがシルフィードが作った風に乗って疾風の速さで精霊界を駆け抜け、城で待ち構えていたノームが全身血に染まっているコハクを見て痛々しげに瞳を伏せた。
『可哀そうに…。いくら儂らが助けたとて、こ奴は元の世界に戻れんぞ。またいつ目覚めるかもわからん。…儂らと面白おかしく暮らしていくのか?…あのおチビさんはどうする?』
ノームが“おチビさん”と言った時――
閉じていたコハクの唇がゆっくりと開き、確かに小さな声で発音した。
「チ…ビ………」
『!…まずは死なせないことが重要なのよ、他のことはまたその時に考えればいい。コハクの中にあった聖石も魔法剣の力を削いだわ。この傷が塞ぐまで、私たち不眠不休よ』
直ちにベッドに寝かされたコハクの周囲に四精霊が集まり、全員の両手がコハクの身体に添えられた時、虹色のヴェールに包まれた。
元々すでに水晶が胸の傷を塞ごうとしているし、コハクが胸に隠していたホワイトストーンとイエローストーンが魔法剣の力を半減させていたことが幸いだった。
『うまく働いている…。魔王はラッキーね、きっと助かる』
「チ、ビ……!」
――またコハクが名を呼んだ。
ウンディーネの視点からずっとコハクを見守っていたラスは、四精霊が必死になってコハクを助けようとしてくれていることを今まで知らなかった。
彼らは元の世界に戻ってきたコハクにこき使われても嫌味は言えど嫌な顔ひとつしなかったし、むしろ嬉しそうに見えたし、コハクを助けたことに対して礼を求めたりしてこなかったから。
…うなされて、綺麗な顔が苦しそうに歪むと、ウンディーネの冷たい手がコハクの額にあてられ、熱を吸った。
「コー…良かったね…、コー…」
そうして傷が塞がるまで、彼らはコハクの傍を離れなかった。
『…何かが起こったと思っていた』
『私たちの城へ運んで。全員で魔王を助けなきゃ。私たちを召喚できて、私たちを頼ってくれるのは…もう魔王しか居ないのよ。あんただって暴れられなくなるのよ、いいの?』
『…』
ウンディーネの腕に抱かれていたコハクを乱暴に肩に担いだサラマンダーがシルフィードが作った風に乗って疾風の速さで精霊界を駆け抜け、城で待ち構えていたノームが全身血に染まっているコハクを見て痛々しげに瞳を伏せた。
『可哀そうに…。いくら儂らが助けたとて、こ奴は元の世界に戻れんぞ。またいつ目覚めるかもわからん。…儂らと面白おかしく暮らしていくのか?…あのおチビさんはどうする?』
ノームが“おチビさん”と言った時――
閉じていたコハクの唇がゆっくりと開き、確かに小さな声で発音した。
「チ…ビ………」
『!…まずは死なせないことが重要なのよ、他のことはまたその時に考えればいい。コハクの中にあった聖石も魔法剣の力を削いだわ。この傷が塞ぐまで、私たち不眠不休よ』
直ちにベッドに寝かされたコハクの周囲に四精霊が集まり、全員の両手がコハクの身体に添えられた時、虹色のヴェールに包まれた。
元々すでに水晶が胸の傷を塞ごうとしているし、コハクが胸に隠していたホワイトストーンとイエローストーンが魔法剣の力を半減させていたことが幸いだった。
『うまく働いている…。魔王はラッキーね、きっと助かる』
「チ、ビ……!」
――またコハクが名を呼んだ。
ウンディーネの視点からずっとコハクを見守っていたラスは、四精霊が必死になってコハクを助けようとしてくれていることを今まで知らなかった。
彼らは元の世界に戻ってきたコハクにこき使われても嫌味は言えど嫌な顔ひとつしなかったし、むしろ嬉しそうに見えたし、コハクを助けたことに対して礼を求めたりしてこなかったから。
…うなされて、綺麗な顔が苦しそうに歪むと、ウンディーネの冷たい手がコハクの額にあてられ、熱を吸った。
「コー…良かったね…、コー…」
そうして傷が塞がるまで、彼らはコハクの傍を離れなかった。