魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
まずはコハクが薬を飲み、変化を待ったが…苦しみもせずけろりとした顔で肩を竦めた。


「なんともねえな。どこも痛くねえし…成功したのか?それとも失敗か?お前飲んでみろよ」


本来ならば万能薬に成り得るか劇薬になり得るか二者一択の状態なのに、デスはコハクと同様躊躇なく薬を口にして水で流し込んだ。

そしてまたデスにも何ら変化はなく、これは失敗したのだと肩を落としかけた時――


「…?デス…お前、顔色が良くなったか?」


「……?」


白さはあまり変わらないように見えたが、長年デスと接してきたコハクにはわかった。


真っ白すぎる肌はほんの少しだけ赤みが差し、マンドラゴラの調合薬を飲んだ者の弱っている部分を劇的に改良する効果を発揮したのを確認したコハクは、ラスが飲みやすいように魔法で丸薬にすると、真っ新な笑顔で笑いかけた。


「良かったな、少しは健康的に見えるぜ」


「………早く…戻ろう…」


コハクを急かしてシャツの袖を引っ張るデスの頭をぐりぐり撫でたコハクは、ラスに笑顔が戻って頬にキスをされまくる妄想を膨らませてすでに有頂天になっていた。


「よっし、じゃあ戻りますかー。…ん?」


――コハクは何らかの身体の変化を感じて胸を押さえた。


血が滾り、魔力が増大しているような感覚――

今この身体には、四精霊から貰った精霊石が入っている。

元の世界に戻るために借りていたものなのでいつかは返そうと思っていたが…この感触は…


「同化…しちまったのか…?」


マンドラゴラを飲んだせいで少しだけ弱っていた魔力が増幅し、精霊石を取り込んでしまったのだ。

本来は体内に巡る水晶とは相反する石のはずなのだが、うまく同化し、コハクの魔力は今まで以上に強大なものになってしまった。


「ちっ、参ったな…チビのためにしか魔法は使わねえから魔力が増えたって使い道なんか…」


「………ずっと一緒に生きていくなら……いつか必要に…なる…」


「そっか?それよか四精霊に怒られちまう。どうにか精霊石を元に戻し…」


『あの石たちはあなたにあげたのよ。だから要らないわ』


天啓を授かったようにどこからかウンディーネの声が聴こえた。


唯一四精霊を召喚できる魔法使いはまた肩を竦めて小さく笑うと、指で胸をとんとんと叩いた。
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