魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「な、チビ、ちょっと腹見せてくれよ。少し大きくなったよな?」


「わかる?ちょっとだけ大きくなったの。ベビー、パパですよー」


デスがまた爆睡しているのでひそひそ声で話しながらラスがネグリジェを胸まで捲り上げた。

普段なら“爆発する!”と絶叫する魔王は真摯な瞳でラスの腹をゆっくり撫でてキスをしたので、思わず笑い声を上げてしまったラスはコハクの頬をむにっと引っ張った。


「コー、くすぐったいっ」


「これからもチューすっからな。ベビー、あんまりママを苦しめるなよ。パパが守ってあげまちゅからねー」


すでに親馬鹿炸裂なコハクはネグリジェを元に戻してラスを抱き寄せながらデスの寝顔を覗き込んだ。


「しっかし爆睡してんなこいつ。できれば隣の部屋で寝てほしかったけどなー」


「気持ちよく寝てるんだから駄目だよ。それよりコー…さっきデスにきゅんってしちゃった」


まさかの爆弾発言に瞳を見開いたコハクが口を開きかけたので慌てて両手でコハクの口を塞いだラスは、さらに仰天発言をしてコハクを半泣きにした。


「だってデスって元々かっこいいでしょ?最近表情が増えてもっと魅力的になったと思うの。さっき笑いかけられた時ね、きゅんってなったの。でも1番はコーだよ?」


「1番も2番も3番もぜーんぶ俺じゃなきゃいやだ!まあ確かにこいつはいい男だけど性格が根暗だからなあ…。でも劇的な変化だと思うぜ。今まではこいつに影響を与えるような奴が居なかったんだから」


コハクからぺろぺろと頬を舐められながら首を伸ばしてデスを観察すると、暗闇の中に白い骨の手がいっそう映えて見えた。

死神として生まれついたこと…

鎌を手に常に人の恐怖の対象として見られること…

デスの心情は計り知れず、さすがのラスも気を遣って自ら死神としてのデスの仕事ぶりを聴くことができないでいる。


「そっか…。じゃあここに居ればもっと変わると思う?」


「ん、変わるだろうな。緩やかな変化になると思うけど、俺もなるべくこいつを怒らないようにするからチビも俺を怒らないでくれよな」


「ふふふふっ、約束できる?私は無理だと思うなー」


「あ、なんだそれ。こいつめ」


沢山のキスの雨が頬に降り注ぐ。

これからいっそうラスの腹は膨らみを増し、皆を笑顔にさせた。
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