魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
デスに抱っこされて螺旋階段を下り、城から出たのは本当に久しぶりだ。

醜悪な外見のわりにはエプロンをつけて城内城外問わずせっせと働いている改造済みの魔物たちの姿は微笑ましく、ラスを見るなりあちこちで咲き誇っている花を摘んでは手渡しにやってくるので、いつの間にかラスの手や胸には花束と言える量の花が乗せられていた。


「綺麗っ。デスにも分けてあげるね」


そう言って極彩色の赤の花をデスの耳元に差すと、ちゅっと頬にキスをした。


「連れ出してくれてありがとう。ちょっとヤな子になりそうだったから…」


「………そんなこと…ない」


「デスは知らないかもしれないけど、コーとお師匠のローズマリーさんは恋人同士だったの。だから私…まだ勘ぐってるのかも」


「……魔王は…ラス一筋…」


「うん、コーを信じてる。ね、ベンチに座ろうよ」


グリーンリバーの中央を走っている大河には巨大な橋が架かっており、そこに置かれているベンチは人気があるのでいつも接戦になるのだが…今回はあっさりと座ることができた。

…どこに居てもデスの姿は一際異様に映る。

顔の上半分はローブで見えないし、背が高くすらりとしてはいるが醸し出している雰囲気が常人とは違う。


ベンチに座ると、両隣に座っていたカップルたちがそそくさと立ち去ったので、デスはラスを膝に乗っけたまま頬をかくと俯いた。


「……俺と居ると……怖がられる…」


「?そんなことないよ。ね、お花の冠編んであげよっか。すっごく下手だけどデスのために作るね」


真剣な顔で花を編み始めたラスの気持ちが嬉しくて頬にちゅっとキスを返すと、ラスが瞳を丸くしたので何故か言い訳のようにコハクから約束させられたことを口走った。


「……首から上は…いいって言われた…」


「コーから?ふふっ、うんいいよ。風が気持ちいいね、もうちょっと待っててね」


ラスの背中を支えてやりながら不器用な手つきで花を編むラスの手を見るふりをして、何度かちらちらと顔を見ると、唇が尖って変な顔になっているので思わずふっと笑い声のような息が漏れた。


「あ、今笑った?ひどいっ、真剣なのに!」


「……だってその顔……」


「ちょっと黙っててっ。もうすぐできるからっ」


それから1時間後ようやく完成した花冠を頭に乗せたデスを見て、コハクが笑った。
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