魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その夜、ベッドに入ればいつも即眠ってしまうラスがクリスタルパレスへ行けることに興奮してなかなか寝付かないので苦労してようやく眠らせたコハクは、ラスに腕枕をしてやりながらもう片方の手で何度もラスの腹を撫でていた。


「チビ…話してえけどもうちょっと待ってくれ。俺…多分後悔してるんだ」


――今までは後悔などしたことがなかった。

ホワイトストーン王国は強国だったがひとつ失念していたことがある。


聖石は魔物を退ける退魔の力があるが、コハクは…魔物ではないので攻撃できるということを。

その当時の王は口が卑しく、王たる気品に欠けていた。


『気味の悪い術ばかり使う魔法使いなど消えて当然だ。人はこれからも魔法に頼らず水晶と共に生きてゆく。高慢で下賤な魔女や魔法使いの狩りを行って殲滅する』


…もうその時には魔法を使える者はコハクだけだったのに。

魔女や魔法使いの血を引く者たちは親から受け継いだ口伝や魔法書を頼りに薬草を作ったり薬を作ったりしてひっそりと生きてきたのに。


コハクは怒りのままに針山の上にある魔王城で無表情のまま指先から雷のような光を放った。


閃光はホワイトストーン王国の頭上にものすごいスピードで落下して…スローモーションのようにゆっくりと、あの国は瓦礫に沈んだ。


「仲間が居たんだ。会ったことはねえけど…ローズマリーのようにみんなひっそりと生きてた。力を無くして絶望しながら生きてきたんだチビ。だから俺は…許せなかった」


ゆっくりとラスの細い指に指を絡めて引き寄せて、抱きしめて…温もりが欲しかった。

すると反射行動のようにラスもぎゅうっと抱き着いてくれて…どんなにこの小さなお姫様に救われたことか。


「チビはあの瓦礫の山を見た時呆然としてた。…あれは俺がやったんだ。でもチビは俺を責めなかった。…おいこら、涎垂れてんぞ」


ティッシュで口元を拭ってやりながら、ラスが幼い頃からたった1人ずっと味方でいてくれたラスが自分を受け入れてくれたこと…今でも実はあまり信じられずにいる。

2年間ずっと自分を待ってくれたこと…精霊界にまで捜しに来てくれたこと…


そして、神の存在。


「…神って…居るんだな」


ラスの頬にちゅっとキスをして、眠りについた。
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