魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「コー起きて、ねえ起きてったら」


「…んんー…?」


ゆさゆさ身体を揺さぶられ、朝陽が目に染みて薄目でむくりと起き上がると、ラスが膝に乗っかってきてぎゅっと抱き着いた。


「今何時だ…?チビ…その格好…」


「クリスタルパレスに行くんでしょ?私はもうデスと朝食を食べちゃったからコーは移動がてら食べてね。私が作ったの」


ラスの格好は白のローブを着こんでショルダーバッグをたすき掛けにして準備万端という出で立ちで、低血圧でぼーっとしていたコハクはまたベッドに倒れ込むと大きな欠伸をした。


「もうちょっと寝かして…。チビ、一緒寝ようぜ」


「やだ。じゃあコーは置いてくからドラちゃんとワンちゃん呼んでね」


「いやだ!俺も行く!置いてくな!」


にこーっと笑ったラスの頬をむにむに引っ張った時、ノックと共に中へ入ってきたリロイが肩で息をついてはしゃぐラスを諌めた。


「ラス…そんなにはしゃいでいると色々危ないから今日は中止にしようか」


「え!?やだ…リロイ、やだっ、大人しくするから…、ね?約束するから」


ラスを大人しくさせる方法を熟知しているリロイは腕に縋り付いて必死の形相で見上げてくるラスの頭を撫でてぽんと背中を押した。


「死神が階段に座り込んでたよ。ラスを待ってるんじゃないかな」


「あ、うん、わかった。じゃあコー、早く準備してね。顔洗って歯磨きして服着たら降りて来てね。私が作ったサンドウィッチも食べてね」


「んー、わぁった」


ラスが転ばないようにしっかり手を握ったリロイは、螺旋階段を下りながら血色が良くなったラスの体調が改善したことを喜んで手の甲で白い頬に触れた。


「顔色がとても良くなったね。影と死神が何かしたの?」


「うん、お薬を作ってくれたの。コーって本当になんでもできるよね。器用でいいな」


「憎らしい位器用なのは認めるけど、君にはものすごく振り回されてると思うなあ」


「そう?ねえリロイ、おんぶして」


昔…兄妹のように育った幼少期は、いつもリロイにおんぶしてもらって森を遊び回った。


――この人が離れて行くなんて――


そのことを考えてしまうと、ラスの胸はどうしようもなく苦しくなって、おんぶしてもらいながらリロイの首に腕を回して抱き着いた。
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