魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
高層マンションの真下には救護テントが設けられていて、終始そこに詰めていたティアラの元にコハクに抱っこされたラスとデスがやって来て苦笑した。


「本当に脚が萎えちゃうわよ」


「いいの!俺がチビの脚になっから」


「ティアラはずっとここに居るの?リロイはどこに行ったの?」


「私はずっとここ。リロイはひとつの場所にじっとしてられないほどみんなから声をかけられて相談に乗ったりしてるからどこに居るかわからないわ」


そういえばここに来るまでの間に休憩を取っていた男たちや、昼食の煮炊きを行いながら雑談をしていた女たちから小耳に挟んだ情報がある。

ラスはコハクから降ろしてもらってティアラの隣に座り、肩を寄せた。


「選挙があるの?みんながそんなことを言ってたけど」


「ええ。民衆から立候補を募って、その中から1人だけに投票できるの。民衆から選ばれた人がここの街の主になるのよ。…ちょっと街というには規模が大きすぎるけれど」


街というよりは王国と呼んだ方がいい広大な面積を誇るクリスタルパレス。

元々は王国だったので当然のことだったが、聖石を持たず水晶に守護をしてもらうという異例のクリスタルパレスを各王国がどう接するか――

悪しき考えを持つ者が選ばれてしまえば、せっかく再建したこの街は…意味のないものとなってしまうかもしれない。


だがティアラは声を潜めてラスの耳元で民衆が口々に挙げる者の名を口にした。


「みんなリロイに投票するらしいの。ラスはどう思う?」


「えっ?賛成!リロイなら最初から一生懸命協力してくれたし、ここの統治者になったら…」


デスをいじって遊んでいたコハクを見上げたラスは、いそいそと椅子から立ち上がってコハクの腰に抱き着いて耳を引っ張り、耳打ちをした。


「リロイがここの統治者になったら白騎士よりも地位が上がるよね?っていうことは…」


「ま、王族に求婚できる立場にはなるな。だけど小僧が立候補しねえと票は無効だぜ」


「え…、そうなの?どうしよう…ティアラ、一緒にリロイを説得しよ」


「私はもうしたのよ。でも駄目だったわ。彼…世界を見て回りたいらしいの。“嬉しいけど僕にはできない”って言われたわ」


頑ななリロイ。

彼が望み、進んで行きたい道はどこにあるのだろうか?
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