魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「コー、リロイに会いたいな」


きらきらした瞳で見上げてくるラスのおねだりを滅多なことでは却下しない魔王は、ラスをテーブルの上に座らせると、瞳を閉じて千里眼を使った。

その場に居るのにどんな場所でも見通せる魔法で、ローズマリーと暮らしていた時はよく千里眼を使って様々な街を見て回ったものだ。

最近はほとんど使うことはなかったが、ラスのためならどうということはない。


「居たぜ、城の中だ。王の書斎で書類まみれになって頭抱えてる。ちいっと手伝ってくっかな」


「ほんと?コーありがと」


ちゅうっと頬にキスを貰ったコハクはラスを抱っこし直して可愛いお尻を撫でまくり、またティアラを呆れさせた。


「魔王、ちゃんと手伝いなさいよ。邪魔をすれば私が黙っていないから」


「ばーか、ここは俺が再建計画練ったんだぞ。小僧ばっかにいい顔させられっかよ」


「そうそう、コーはなんでもできるんだからリロイと2人でやればすぐ終わるよ。ねっ」


「ま、そうだな」


でれでれしながら救護テントを出たコハクはそのまま城へ向かい、家も沢山建って高層マンション以外はほぼ完成といえる街並みを見て満足げに鼻を鳴らした。


「チビ、1年かかんなかったぜ。俺がちょっと実力出せばこんなもんよ」


「うん、私結局なんにも出来なかったけど、お父様たちに反対されたら…私を連れて逃げてくれる?」


「!!あ、あったりまえじゃん!チビと逃避行……イイ!すごくイイ!」


盛大に妄想が膨らんだ魔王はカイが地団駄を踏むイメージ映像に至極ご満悦になると、“何も出来ない”と言ったラスの頬をぺろぺろ舐めて首筋にキスをした。


「チビにしか出来ねえこともあるぜ」


「え?なあに?」


「小僧の説得。あいつはチビの言葉には耳を傾けると思うからさ、説得してここの王になってもらえよ。俺もその方がいい。そしたらグリーンリバーと同盟組んで末永く取引すればいい。ここの蒸留酒は最高に美味いしまた飲みてえし」


「うん、わかった!私、頑張る!」


意気込みよくいい返事をしたラスと共に王の書斎となる部屋の前に着くと、ドアの隙間からは床に散乱している書類が沢山見えた。


皆の声にひとつひとつ耳を傾けて真摯に対応するリロイがここの主に相応しい。


ラスは気合いを入れてドアをノックした。
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