魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
『やだリロイ、行かないで!あとちょっとだけ…ちょっとだけでいいから私の傍に居て!』


ラスが幼かった頃、コハクは声だけは聴こえるが、姿はあまり現わさなかった。

その点リロイは遊び相手になってくれて、サーガや絵本で見た勇者様の外見そのものを兼ね備えたリロイの優しい性格や言葉に何度も救われたことがある。

その関係が壊れてしまったことに関しては…本当に申しわけないと思っているし、それを態度で表すと逆にリロイが傷ついてしまうのでは…とラスなりに考えて笑顔でいたのだが…

どうやらそれは、逆効果だったらしい。


「リロイが離れてくなんて絶対嫌なんだから。リロイがおじいちゃんになっても私と会える距離に居て。白騎士もやめてほしくないけど、ここの王様になってくれるのなら私…リロイに会いに行くから!」


「…ラス…」


「リロイは私の笑顔が好きだって言ったでしょ?笑えない時もあったけど、今笑えるのはコーとリロイが傍に居てくれてるからなんだよ?我が儘な私の傍にずっと居てくれたのはリロイとコーだけなんだから!」


「おいチビ、あんま興奮すんなって。ベビーがびっくりするぞ」


腕をありったけの力で掴んでくるラスの形相があまりにも必死で、可愛らしい顔は頬が膨れ、眉根は絞られて、ラスが我が儘を言う時の顔そのものになっていて、またリロイを笑わせた。


「ふふふ、今、すっごい顔してるよ。せっかく美人になったんだから笑って。僕の好きな笑顔で」


「…うん、わかった」


掴んでいた腕を離したラスは1度振り返ってコハクを見つめると、ぺろっと舌を出して牽制攻撃を仕掛けた。


「コー、怒んないでね」


「へ?…あぁーーーっ!?チビ、やめなさい!何してんだ!」


再度リロイの膝に上り込んだラスは、小さな頃とほとんど変わらない笑顔で…まるで花の蕾が開いた時のようにふわりと笑い、リロイの頬にちゅっとキスをした。

もちろんコハクが怒るのもわかっていたが、今はリロイの説得が大事で…離れて行ってほしくない。


「リロイ…私の傍はもう…いや?」


「…君の傍には影が居るでしょ?僕と影は犬猿の仲だから一緒には居られないよ。でもそうだね、ここに住むことは考えてみる。猫の手も借りたい状況だろうしね」


「!ありがとうリロイ!」


はしゃぐラスは幼かった頃のままで、リロイを懐かしませた。
< 452 / 728 >

この作品をシェア

pagetop