魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
確約ではないが、“考える”と言ったリロイの言葉に嬉しくなったラスは、ふてくされて唇を尖らせているコハクの隣に戻ってテーブルに山積みになっている書類を膝の上に乗せた。


「はいこれ。コー、頑張ってね。隣で応援してるから」


「なんだよさっきの。俺やる気無くなった。もうやんねえ」


コハクがこうなることは容易に想像できていたので、にこっと笑ったラスはコハクの背後に回り込んで耳をひっぱると、ふうと息を吹きかけて魔王を燃え盛らせる魔法の言葉を囁いた。


「なんでもしてあげるから」


「やる!俺頑張る!!」


即答以上の即答に俄然馬力が上がったコハクが次々と書類を手にして速読する中、リロイは相変わらずな2人に瞳を細めて微笑すると、こちらも作業に戻った。

この2人がずっと一緒に居るのが1番いい。

コハクとラスのことはもう気にしていないが、今最も気になるのは…


「あの…入ってもいい?死神が迷子になってたから連れて来たわ」


「あ、ティアラと…デス?どこ行ってたの?ついて来てたと思ってたのに」


ティアラが連れてきたのはコハクと同じように唇を尖らせたデスで、てっきりついて来ているかと思っていたデスとはぐれてしまったことを思い出したラスは、駆け寄って来てぎゅうっと手を握ってきたデスの頬を撫でた。


「大丈夫?はぐれちゃってごめんね。隣においで」


「…………うん」


ほっとしたのかみるみる垂れた優しい目元が緩んだデスの頭を撫でたラスがソファーに座るとデスも座り、ばりばり仕事をこなしているコハクを見て首を傾げた。


「………何…してるの…」


「お仕事ー。これが終わったら…あんなことやこんなこと…!…なんでもねえよこっち見んな!」


「………俺も…今夜…仕事…」


はっとなったラスはデスの腕に抱き着いて頬にキスをした。

コハクはそれについては何も言わずにわざと見過ごしてやると、無言でデスの頭をぐりぐりと撫でて肩を叩いた。


「お仕事頑張ってね。デスにしかできないことなんだから胸を張って。いい?」


「………わかった」


引っ付き虫のようにラスから離れないデスと目が合った気がしたリロイが微笑みかけると、わずかにだがデスの唇の口角が上がった気がした。


それぞれに変化が起きている。

化学反応を起こすように――
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