魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
エプロンをつけ、頭からはねじれた長い角が2本生えた赤銅色の肌をした魔物に案内された部屋はこの城で最も狭く、それに気付いていないフォーンは長旅でくたくたになった身体をベッドに投げた。
「どうして私がこんな目に…。フィリア女王も“結婚式を延期する”と言い出すし、ティアラ王女は私を邪険にするし…魔物に遭遇しそうになるし…」
一回りも二回りも歳が離れた若く美しいティアラと結婚できるだけで儲けものなのに、さらにレッドストーン王国まで手中に転がり込んでくるのだから、願ったり叶ったりだ。
ティアラが自分と結婚するのを嫌がっているのは知っているが、フィリア女王がそれを望んでいるのだから、“仕方なく”結婚してやろうというのに。
「ん…?何の声だ…?」
遠くから猛烈な勢いで近付いてくる、何かが叫んでいる声。
起き上がって窓辺に寄って空を見上げたフォーンは、真っ黒なドラゴンが巨体をくねらせて叫びながら城の屋上に着陸しようとしているのを見て飛び上がりそうになった。
あのドラゴンは…かつてレッドストーン王国にティアラが帰ってきた時、ゴールドストーン王国の白騎士と乗っていたドラゴンだ。
すぐさま部屋を出たフォーンは屋上に向かい、ちょうどリロイに手を引かれてドラちゃんの背から降りてくるティアラと目が合った。
「ティアラ王女…お会いしたかったですよ」
「…フォーン様…お久しぶりです」
…苦虫を噛み潰したような顔でようようと頭を下げたティアラの態度も気に入らなければ、隣に立っているリロイは冷めた瞳でこちらを見ている。
苛立ったフォーンは強張った笑顔を浮かべてティアラに手を差し伸べた。
「私の婚約者よ、歓迎のハグはしてもらえないのかな?」
「……」
…躊躇している。
それがあからさまに見てとれたフォーンが足音高くティアラの手を取って引き寄せようとした時――
「嫌がっていますからやめて下さい」
「…また貴様か。私は王になる男なのだぞ、たかが白騎士が私を止められるものか」
「もう1度言います。おやめ下さい」
ぐっと声色が下がったリロイの表情は綺麗な顔立ちをしているせいでさらに冷淡に映り、ティアラの腕を掴んでいる手から力が抜けた隙にティアラが階下へと走り去って行った。
そしてその場に残された男2人が睨み合う。
譲れないものを前に――
「どうして私がこんな目に…。フィリア女王も“結婚式を延期する”と言い出すし、ティアラ王女は私を邪険にするし…魔物に遭遇しそうになるし…」
一回りも二回りも歳が離れた若く美しいティアラと結婚できるだけで儲けものなのに、さらにレッドストーン王国まで手中に転がり込んでくるのだから、願ったり叶ったりだ。
ティアラが自分と結婚するのを嫌がっているのは知っているが、フィリア女王がそれを望んでいるのだから、“仕方なく”結婚してやろうというのに。
「ん…?何の声だ…?」
遠くから猛烈な勢いで近付いてくる、何かが叫んでいる声。
起き上がって窓辺に寄って空を見上げたフォーンは、真っ黒なドラゴンが巨体をくねらせて叫びながら城の屋上に着陸しようとしているのを見て飛び上がりそうになった。
あのドラゴンは…かつてレッドストーン王国にティアラが帰ってきた時、ゴールドストーン王国の白騎士と乗っていたドラゴンだ。
すぐさま部屋を出たフォーンは屋上に向かい、ちょうどリロイに手を引かれてドラちゃんの背から降りてくるティアラと目が合った。
「ティアラ王女…お会いしたかったですよ」
「…フォーン様…お久しぶりです」
…苦虫を噛み潰したような顔でようようと頭を下げたティアラの態度も気に入らなければ、隣に立っているリロイは冷めた瞳でこちらを見ている。
苛立ったフォーンは強張った笑顔を浮かべてティアラに手を差し伸べた。
「私の婚約者よ、歓迎のハグはしてもらえないのかな?」
「……」
…躊躇している。
それがあからさまに見てとれたフォーンが足音高くティアラの手を取って引き寄せようとした時――
「嫌がっていますからやめて下さい」
「…また貴様か。私は王になる男なのだぞ、たかが白騎士が私を止められるものか」
「もう1度言います。おやめ下さい」
ぐっと声色が下がったリロイの表情は綺麗な顔立ちをしているせいでさらに冷淡に映り、ティアラの腕を掴んでいる手から力が抜けた隙にティアラが階下へと走り去って行った。
そしてその場に残された男2人が睨み合う。
譲れないものを前に――