魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
改めてフォーンをまじまじと観察したリロイは、やはりフォーンが残念な男であることに落胆の息をついた。


不細工までとは言わなくてもその1歩手前であることは明らかで、今まで結婚しなかったのは“結婚出来なかった”のだろう。

こんな男と結婚してまで王国を継がなくてはならないのだろうか。

王女の運命とは、そんなに過酷なものなのだろうか?


もしラスがコハクと出会わなかったら…

もし自分が求婚していたら…

どうなっていただろうか?


「貴様はゴールドストーン王国の白騎士だろうが。何故ティアラに構う?さては惚れているのか?」


「下賤な考えは止めた方がいいですよ。…底が知れる」


「!また私に暴言を吐いたな…?私が王になればまず最初にお前を八つ裂きにしてやる。ティアラは私と結婚して、レッドストーン王国は軍備を増強して王国随一の強国となるのだ」


「…あなたには無理だと思いますが」


「なに!?」


…勇者の証などひとつも備えていないフォーンが国を強くできるわけがない。

この男は…なにひとつ、わかっていない。


「失礼」


話す時間が無駄だと判断したリロイはフォーンの脇をすり抜けて階下へと消えた。


ティアラの傍に居てあげなければ。

ただその一心で。


――その頃部屋で作戦会議を練っていたコハクとラスの元にティアラが飛び込んできた。

血が出そうなほどに唇を噛み締めてわなわなと身体を震わせているティアラが誰と会ったかを容易に想像できたラスは、すぐさまティアラにぎゅうっと抱き着いて背中を撫でた。


「あの人…変な人だね。結婚…考え直した方がいいよ?」


「…ふふ、私もそう思っていたところ。でももう民衆にも発表してしまっているの。キャンセルなんか…もうできないわ」


「絶対後悔すると思うけどなー。だってあいつ背も小っちゃいし不細工だしキンキン声だしチビにべたべた触るしサイテーじゃん。あんな奴のガキを生まなきゃいけねえんだぞ、いいのか?」


ティアラはそれを想像してまた悪寒が走ったが、毅然とした表情で背筋を正してラスとハグを交わした。


「ありがとう、ラス。でも王女の運命なんて大体こういうものよ。好きな人と結婚できるなんて夢の夢なの」


達観した瞳で自身の立場を見つめ直した。
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