魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
悲しげな表情でいきなり部屋に乱入した非を詫びたティアラが部屋を出て行った後、コハクは少し疲れた表情を見せたラスをベッドに横たえさせてすかさず隣に潜り込んだ。


「いくらボインが美人でもさあ、旦那があんなんだと間違いなく負のDNAの方が勝つぜ」


「じゃあコーと私のベビーはコー似なんだね」


「なに!?俺が負のDNA持ちとでも言いてえのか、こんにゃろう!」


わき腹をくすぐって可愛い声を上げさせると、頬杖を突いてラスの鼻をつまみながら息をついた。


「コーはどうするつもり?乱暴なことしちゃ駄目だよ」


「いや、色々考えてんだけどさあ、さっきからチビは全然アイディア出してねえじゃん。どうなってんだこの頭は」


中指の第二間接で頭をぐりぐり小突いたが、ラスは相変わらずぽやんとしたままコハクの胸に指でなぞった。


「コーがすっごいこと思いついてくれるって信じてるから私はなんにも考えなくっていいの。そうでしょ?」


「そう!当たり!俺は天才だからえげつなくて死にたくなるようなアイディアを絶対思いつきます!」


ちらちらと見える胸の谷間に今夜のムフフな妄想が一気に膨らんだコハクが唇を“3”の字にして迫ろうとすると、急にラスが少し伸びた黒い髪に触れてきた。


「?チビ?」


「コー、ハゲないでね」


「今までハゲてねえから大丈夫だろ。でもさあ、俺がハゲたらどうする?」


「やだ。だから私に魔法をかけて私だけにはコーの髪がふっさふさに見えるようにしてね」


…“ハゲても好き”と言ってもらえるつもりだったコハクはラスの即答に思いきりショックを受けて、起き上がると早速鏡で頭をチェックし始めた。


「う、薄くなってないよな?なっ?」


「うーん…多分」


「俺ヤだからな!あのチビハゲ王子みたいに後頭部がハゲたら生きてけねえ!ハゲても…俺のこと愛してるだろ!?」


「うーん…だから私に魔法をかけてくれれば大丈夫だよ」


…笑顔で酷いことを言う。


慌てふためいてあらゆる角度から頭をチェックしているコハクが可愛らしく、ラスはくすっと笑ってころんと寝転んだ。


「髪がふさふさになる薬を開発しよう!そうしよう!!」


それからしばらくの間、コハクは頭皮チェックに余念がなかった。
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