魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
小国といえど王子には違いないフォーンのために晩餐会を開くことになり、コハク以外正装した面々は食卓の間に集って…唖然としていた。


「私の遠い祖先はかつて大陸をはじめて制覇したといわれる開国の王の弟君で、私の家にはそれはもう価値がつけられない文献が多数残っております。小国ではありますがそういった価値あるものを世に知らしめれば恐らく大国1つ分は下らない値になると思われ…」


「開国した奴の子孫じゃねえんじゃん。所詮弟じゃん」


膝に乗せたラスにチーズを食べさせたりオレンジを食べさせたりでほとんど話を聴いていなかったコハクが鼻で笑うと、フォーンは髭を震わせて卑屈な笑みを浮かべた。


「ですが私の家に残るものはすべてレッドストーン王国に寄贈します。いえ寄贈というのはおかしいですね、私の国になるのですから」


「…」


ティアラは隣に座るフォーンの顔をけして見ずに終始手を動かして食事に集中していた。

この中で最も立場の弱いリロイは末席に座り、フォーンが語る自慢話に耳を傾けずにティアラがずっと俯いていることを気にかけていた。


「ねえコー、この人がなに言ってるのか全然わかんない」


「俺も俺も。つまりさ、こいつ自体は全然すげくなくて、やっぱりただのチビハゲ王子ってことだろ」


またじっとラスが髪に視線を注いできたのでそわそわしてしまうと、ラスの隣に座っていたデスがすくっと立ち上がった。


「デス?」


「……俺……行く」


「うん、行ってらっしゃい。戻って来たら部屋に来てね。明日は一緒にお昼寝しよ」


フォーンは真っ黒なローブを着てフードで顔が見えないデスが何者なのか教えてもらっていなかったので横のティアラに説明を求めるように顔を覗き込むと、ティアラはわずかに身じろぎしてフォーンの顔から身体を遠ざけた。


「…彼はラスたちの知り合いです」


「そうでしたか、どこへ行くかは知りませんがごきげんよう」


…ひとり上機嫌で酒が進んでいるフォーンは完全に空気を読んでおらず、デスもフォーンを完全に無視して食卓の間から消えて行き、コハクはラスの唇にチェリーを持って行きながらフォーンをせせら笑った。


「どうやっていじめてやろうかなあ」


「ちょっとひどいこと位ならいいよ。私もあの人…苦手」


珍しくラスが賛同したので、魔王、うきうき。
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