魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「俺の可愛い天使ちゃあん!遅くなってごめんね、飯作って来たから一緒食おうぜ…ってなんだ…寝てんのか」


ローズマリーと別れた後キッチンに行ってあたたかいスープと、たっぷり蜂蜜をかけたあたたかいパンと紅茶を持って戻って来たコハクは、すやすやと気持ちよさそうに眠っているラスを見て肩を落とした。


「せーっかく作って来たのに…。…ってなんでお前がベッドに居てチビがソファーなんだよ。逆だろが!身体冷やしたらどうすんだ!」


コハクに理不尽に怒られてまん丸になったデスは、ラスの身体にありったけの毛布をかけてやっていたのだが、やはり怒られてしまってむっつり。


「………俺…ちゃんと見張ってた…」


「おう、そりゃご苦労。チビー、ベッドで寝ないと風邪引くぞー」


抱っこしようと腕を伸ばした時、パンと紅茶の良い匂いにがばっと起き上がったラスは寝癖に髪を乱しながらぼーっとコハクを見上げた。


「コー…いい匂いがする…」


「腹減ったろ?ちょっと予想以上に時間かかちまってごめんな。でもそろそろ…ふふふふ」


「?どうしたの?」


ラスにクロワッサンを手渡して隣に座ったコハクは、ティーカップに紅茶を注いでやりながらデスに向かって顎でこっちへ来るように合図すると、果てしなくにやついた。


「俺の罠が発動する頃なんだよなー。あ、チビは知らなくっていいことだから」


「知りたい知りたい。何をするの?あのちっさな王子様に何かするの?」


珍しく乗り気で身を乗り出しながら両手にパンを持って瞳を輝かせているラスの頬にちゅっとキスをして肩を抱いたコハクは、やはりにやつきまくっていた。


「チビハゲ王子さあ、理性なさそうじゃん?ボインじゃない女から誘惑されたらどうすると思う?」


「うーんとねえ…うーんと…コーみたいにぱくって食べちゃう」


「こらそこー!なんで例えで俺の名前が出るんだよ!俺はチビしかぱくってしません!」


いつの間にか隣に移動していたデスがごっそりクロワッサンを攫って行ってあっという間に平らげてしまったので、なんとかラスの分だけは数個確保したコハクはにこにこしているラスを膝に乗せて愛玩しまくると、ぱちんと指を慣らして目の前にぼんやりと映るどこかの部屋を投影した。


「コー…これ、どこ?」


「チビハゲ王子の部屋ー」


準備万端。
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