魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
退出したラスが“歩く”と言って聴かず、跳ねるようにしてスキップをするラスが転ばないようにはらはらしながら後を追っていたコハクは、ラスを呼び止めて2階のバルコニーへと誘った。
「どうする?もうカイたちに会いに行くか?」
「うん…そうだね。ここでの用事ももう終わったし…コー、またお父様たちと喧嘩しちゃったら止めてね。あのね、喧嘩したくないのにしちゃうの。特に…お母様とは」
――ラスの母のソフィーはとても穏やかな気性の儚げな美女だったが、コハクのことになると急に目つきが変わって怖くなってしまう。
実はカイがコハクを倒しに魔王城へと言った時、その戦闘の最中でうっかりわき腹を刺してしまい、カイの腹には今もその痕が残っている。
それをすぐさまフィリアが癒しの魔法で治したわけだが…とにかく色々な感情が絡んでしまって、まともな判断ができなくなってしまうのだ。
「ソフィーは俺のことが嫌いなだけだろ。とにかく俺のことはどうでもいいからカイたちと仲直りしてやれよ。あいつら孫の顔が見れなくなっちまうぞ」
「どうでもいい?…どうでもいいわけない!コーは私の旦那様で、ベビーのパパなんだから!コーのこと悪く言われたくないの!コーの馬鹿!」
「ご、ごめんって…だから興奮すんなよ。な?ほら深呼吸深呼吸」
「…うん」
腹に手をあててやると、気が昂ったラスは何度も深呼吸をしてコハクの腰に抱き着きながら街を見下ろした。
「もうちょっとこうしてていい?」
「じゃあ抱っこさして」
バルコニーにはテーブルセットがあったのでそこを使おうと思った時、フィリアが息を切らしながら駆け寄って来ると、一冊の本をラスに見せた。
「これをティアラに」
「?これはなあに?」
「旅の間にティアラが書いていた日記よ。あの子、あなたに会いに飛び出して行ってしまったから忘れていったの。きっとあの子にとって大切な言葉たちが書かれてあるわ」
茶色の革の表紙には鍵がかけてあり、それはティアラが常に持ち歩いていると教えられたラスはうずうずしてしまってコハクを笑わせた。
「次は実家だろ?それはその後でいーの!次は仲直り!」
「う、うん、わかった!」
日記を胸に抱きしめて張り切ったラスを抱っこしたコハクは、あの頃世界征服を企んでいた時には見せなかった穏やかな笑顔を浮かべてフィリアに手を振った。
「じゃあな、次は結婚式だな。小僧とボインの」
「…そうだといいわね」
去って行く背中を見つめながらもコハクの変化に驚かざるを得なかった。
「あんな風に笑えるようになったのね」
「どうする?もうカイたちに会いに行くか?」
「うん…そうだね。ここでの用事ももう終わったし…コー、またお父様たちと喧嘩しちゃったら止めてね。あのね、喧嘩したくないのにしちゃうの。特に…お母様とは」
――ラスの母のソフィーはとても穏やかな気性の儚げな美女だったが、コハクのことになると急に目つきが変わって怖くなってしまう。
実はカイがコハクを倒しに魔王城へと言った時、その戦闘の最中でうっかりわき腹を刺してしまい、カイの腹には今もその痕が残っている。
それをすぐさまフィリアが癒しの魔法で治したわけだが…とにかく色々な感情が絡んでしまって、まともな判断ができなくなってしまうのだ。
「ソフィーは俺のことが嫌いなだけだろ。とにかく俺のことはどうでもいいからカイたちと仲直りしてやれよ。あいつら孫の顔が見れなくなっちまうぞ」
「どうでもいい?…どうでもいいわけない!コーは私の旦那様で、ベビーのパパなんだから!コーのこと悪く言われたくないの!コーの馬鹿!」
「ご、ごめんって…だから興奮すんなよ。な?ほら深呼吸深呼吸」
「…うん」
腹に手をあててやると、気が昂ったラスは何度も深呼吸をしてコハクの腰に抱き着きながら街を見下ろした。
「もうちょっとこうしてていい?」
「じゃあ抱っこさして」
バルコニーにはテーブルセットがあったのでそこを使おうと思った時、フィリアが息を切らしながら駆け寄って来ると、一冊の本をラスに見せた。
「これをティアラに」
「?これはなあに?」
「旅の間にティアラが書いていた日記よ。あの子、あなたに会いに飛び出して行ってしまったから忘れていったの。きっとあの子にとって大切な言葉たちが書かれてあるわ」
茶色の革の表紙には鍵がかけてあり、それはティアラが常に持ち歩いていると教えられたラスはうずうずしてしまってコハクを笑わせた。
「次は実家だろ?それはその後でいーの!次は仲直り!」
「う、うん、わかった!」
日記を胸に抱きしめて張り切ったラスを抱っこしたコハクは、あの頃世界征服を企んでいた時には見せなかった穏やかな笑顔を浮かべてフィリアに手を振った。
「じゃあな、次は結婚式だな。小僧とボインの」
「…そうだといいわね」
去って行く背中を見つめながらもコハクの変化に驚かざるを得なかった。
「あんな風に笑えるようになったのね」