魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「…………置いてかれた…」
2人の後をのろのろと追っているうちにはぐれてしまったデスは、あっという間に小さくなっていくドラちゃんをバルコニーから見ていた。
素早く動くこともできるのだが、大抵は戦闘の時にしか発揮されない。
その戦闘も滅多にすることはなく、自分の姿を見ただけで逃げられてしまうのだから、どうしようもない。
「……ラスの…実家……」
「あなたは………その姿…本で見たことがあるわ。死神…?」
「……」
フィリアを横目でちらりと見たデスは、人見知り全開でささっと距離を取って口笛を鳴らした。
デスの足元に真っ黒い魔法陣が浮かび、そこから出て来たのは真っ黒い馬で、グローブを外した骨の手に鼻面を寄せてきた。
「やっぱり死神…。昔魔王とよくつるんでいたらしいわね。…何故また一緒に行動を?」
ルーン語が刻まれた白い樫の木を構えて威嚇してくるフィリアを前にだらりと腕を下げたままのデスは、少しだけ考えてまた愛馬の鼻を撫でた。
「………ラスと…魔王と一緒に居たい…から…」
「…ラス王女と?」
ラスのことを考えると自然に笑みが沸いてきて、警戒していたフィリアはその様子を見てゆっくり杖を下ろすと恐る恐るデスの愛馬の背中を撫でた。
デスはその間愛馬が暴れないように首を抱いていて、さらに警戒を解いたフィリアは腰まで届く緩く編んだ三つ編みを揺らして背を向けた。
「今追いかければすぐ間に合うわ。…創造神があなたの存在をお許しになっているのだから、私はあなたを攻撃できない。行きなさい」
「………うん」
尻尾を揺らしている愛馬にひらりと飛び乗ったデスは腹を軽く蹴って空中に飛び出した。
――フィリアは以前、司祭でありながら神の代行者として奇跡を起こせない自身を呪い、1000日もの間神に“私の手にあなたの御業を”と祈り続けた。
その結果、1000日後に教会の吹き抜けの天井から後光が差して舞い降りてきた創造神から奇跡を賜ったのだが…その存在が圧倒的すぎて、意識を保つので精一杯で姿を見ることはできなかった。
そして…あの死神もまた創造神の手によって造られた生き物。
人間と同じように、生きてゆく間に求めているものにいつか手が届く者――
「魔王だけならともかく、ラス王女と一緒に居たいですって?カイ…あなたの愛娘も色々苦労しそうね」
皆が幸せになれるように祈るしかなかった。
2人の後をのろのろと追っているうちにはぐれてしまったデスは、あっという間に小さくなっていくドラちゃんをバルコニーから見ていた。
素早く動くこともできるのだが、大抵は戦闘の時にしか発揮されない。
その戦闘も滅多にすることはなく、自分の姿を見ただけで逃げられてしまうのだから、どうしようもない。
「……ラスの…実家……」
「あなたは………その姿…本で見たことがあるわ。死神…?」
「……」
フィリアを横目でちらりと見たデスは、人見知り全開でささっと距離を取って口笛を鳴らした。
デスの足元に真っ黒い魔法陣が浮かび、そこから出て来たのは真っ黒い馬で、グローブを外した骨の手に鼻面を寄せてきた。
「やっぱり死神…。昔魔王とよくつるんでいたらしいわね。…何故また一緒に行動を?」
ルーン語が刻まれた白い樫の木を構えて威嚇してくるフィリアを前にだらりと腕を下げたままのデスは、少しだけ考えてまた愛馬の鼻を撫でた。
「………ラスと…魔王と一緒に居たい…から…」
「…ラス王女と?」
ラスのことを考えると自然に笑みが沸いてきて、警戒していたフィリアはその様子を見てゆっくり杖を下ろすと恐る恐るデスの愛馬の背中を撫でた。
デスはその間愛馬が暴れないように首を抱いていて、さらに警戒を解いたフィリアは腰まで届く緩く編んだ三つ編みを揺らして背を向けた。
「今追いかければすぐ間に合うわ。…創造神があなたの存在をお許しになっているのだから、私はあなたを攻撃できない。行きなさい」
「………うん」
尻尾を揺らしている愛馬にひらりと飛び乗ったデスは腹を軽く蹴って空中に飛び出した。
――フィリアは以前、司祭でありながら神の代行者として奇跡を起こせない自身を呪い、1000日もの間神に“私の手にあなたの御業を”と祈り続けた。
その結果、1000日後に教会の吹き抜けの天井から後光が差して舞い降りてきた創造神から奇跡を賜ったのだが…その存在が圧倒的すぎて、意識を保つので精一杯で姿を見ることはできなかった。
そして…あの死神もまた創造神の手によって造られた生き物。
人間と同じように、生きてゆく間に求めているものにいつか手が届く者――
「魔王だけならともかく、ラス王女と一緒に居たいですって?カイ…あなたの愛娘も色々苦労しそうね」
皆が幸せになれるように祈るしかなかった。