魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
小さな小さな赤ちゃん用のベッドに駆け寄ったラスは、その隣にある揺り籠のベッドが手作りであることに気付いてまた声を詰まらせた。
「これ…お父様が…?」
「そうだろな。勇者様お手製の揺り籠か。すげえきっちりできてんなおい。…俺も作る!カイには負けてらんねえ!」
対抗心を燃やしてめらめらしたコハクは、国中からかき集めたのでは、と思う位に集められた趣味のいいベビー用品に瞳を細めた。
…ラスとはなかなか遊ぶ時間を持てなかったとは言え、目の中に入れても痛くないほどに愛しい娘には変わりない。
残念ながら彼らの思惑通りに事は進まずに結果ラスは自分の元に嫁ぐことになったが、大きくなった腹を見て、諦めざるを得なくなっただろう。
それが狙いというわけではなかったが、この部屋は予想外だった。
「見つかってしまったか」
「!お父様!これ全部…ベビーの…お腹の中の赤ちゃんの…?」
「そうだよ。もうちょっと秘密にしているつもりだったんだけど見つかってしまったね。おいで」
優しげな微笑を浮かべて片膝を折ったカイに駆け寄ったラスはカイの首に飛び付いて抱き着くと、抱っこしてもらって頬にキスをしまくったので、魔王、いらり。
「いくら親子でも過剰なスキンシップは駄目!絶対!」
「お父様大好き!」
「駄目!!絶対!!」
魔王だけのシュプレヒコールの声が上がる中、完全シカトされて地団駄を踏んでいると、一緒に来ていたソフィーが怖ず怖ずと声をかけた。
「…魔王…」
「あん?」
部屋に入ってきたソフィーを不機嫌全開の顔で見下ろしたコハクだったが、ラスがじっとこちらを見ていることに気付いて胸を張ってふんぞり返った。
「なんだよ」
「…今日はパーティーを開くわ。だから今夜は正装をして。あと…国民にも触れを出すわ。ラスとあなたが結婚する、と」
「お母様!ほんとっ!?」
ラスが興奮してはしゃいだので、あまり身体によくないと考えたコハクはカイの腕からラスを強奪して部屋を出て行き様にやりと笑って振り返った。
「ようやく認めたか。ま、当然だよな。俺はチビの旦那で、ベビーのパパだからな!」
「…お前は親馬鹿になりそうだな」
「お前らほどじゃねえよ」
捨て台詞を吐き、ラスを落ち着かせるために城を出たコハクが向かったのは、ラスが小さな頃によく遊んだ森だった。
「これ…お父様が…?」
「そうだろな。勇者様お手製の揺り籠か。すげえきっちりできてんなおい。…俺も作る!カイには負けてらんねえ!」
対抗心を燃やしてめらめらしたコハクは、国中からかき集めたのでは、と思う位に集められた趣味のいいベビー用品に瞳を細めた。
…ラスとはなかなか遊ぶ時間を持てなかったとは言え、目の中に入れても痛くないほどに愛しい娘には変わりない。
残念ながら彼らの思惑通りに事は進まずに結果ラスは自分の元に嫁ぐことになったが、大きくなった腹を見て、諦めざるを得なくなっただろう。
それが狙いというわけではなかったが、この部屋は予想外だった。
「見つかってしまったか」
「!お父様!これ全部…ベビーの…お腹の中の赤ちゃんの…?」
「そうだよ。もうちょっと秘密にしているつもりだったんだけど見つかってしまったね。おいで」
優しげな微笑を浮かべて片膝を折ったカイに駆け寄ったラスはカイの首に飛び付いて抱き着くと、抱っこしてもらって頬にキスをしまくったので、魔王、いらり。
「いくら親子でも過剰なスキンシップは駄目!絶対!」
「お父様大好き!」
「駄目!!絶対!!」
魔王だけのシュプレヒコールの声が上がる中、完全シカトされて地団駄を踏んでいると、一緒に来ていたソフィーが怖ず怖ずと声をかけた。
「…魔王…」
「あん?」
部屋に入ってきたソフィーを不機嫌全開の顔で見下ろしたコハクだったが、ラスがじっとこちらを見ていることに気付いて胸を張ってふんぞり返った。
「なんだよ」
「…今日はパーティーを開くわ。だから今夜は正装をして。あと…国民にも触れを出すわ。ラスとあなたが結婚する、と」
「お母様!ほんとっ!?」
ラスが興奮してはしゃいだので、あまり身体によくないと考えたコハクはカイの腕からラスを強奪して部屋を出て行き様にやりと笑って振り返った。
「ようやく認めたか。ま、当然だよな。俺はチビの旦那で、ベビーのパパだからな!」
「…お前は親馬鹿になりそうだな」
「お前らほどじゃねえよ」
捨て台詞を吐き、ラスを落ち着かせるために城を出たコハクが向かったのは、ラスが小さな頃によく遊んだ森だった。