魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
極彩色の色とりどりの花々が咲き乱れる森をしばらく散策して、ようやく落ち着きを取り戻したラスを小川のすぐ傍で下したコハクは、ごろんと寝転がってラスの膝枕にあやかった。
「はいコー、飴あげる」
グリーンリバーの黄金の花の蜂蜜でできた飴をコハクの口の中に放り込んだ後、口を開けて待ち構えていたデスの口に入れてあげると、直後がりがりと飴を噛む音がして、ラスはじたばたと手をばたつかせた。
「もう噛んだのっ?もったいないよ!」
「そいつさあ、ほっせぇくせに大食漢なのな。いつかデブになってさらにハゲたらチビに見向きもされなくなるぞ」
「…………いやだ…」
「味わって食べてね?はいもう1個」
今度はちゃんと口の中で転がして味わい、ラスはそれを確認してから自分の口の中にいれてからころと音を鳴らして澄み切った夏空を見上げた。
「ここに来てよかった。コー、正装してって言われてたよね?じゃあデスも真っ黒な服はやめてね。私がコーディネートしてあげるっ」
「……うん…」
本当は真っ黒な服以外は着たくないのだが、ラスのためならと頷いたデスは膝を抱えて小川の中を気持ちよさそうに泳いでいる小魚の鱗が反射してきらきらしているのを見つめていた。
「あー眠たくなってきた」
「寝てていいよ。あ、じゃあ私お花の冠作ってあげる。前より上手になったはずだから」
言いざまに赤や黄色や紫の花を摘んだラスが不器用な手つきで花を編んでいるのを膝枕されたまま楽しそうに見ていたコハクは、デスがラスの手元を覗き込んで見よう見まねで花冠を編み、それがまた…ラスの花冠より比べ物にならない位に精度が高いので、ごほんと咳払いをした。
「……?」
ラスは花冠を作るのに夢中で顔を上げず、コハクは何度もデスに目配せをして、デスは無表情ながらもコハクが何を訴えかけているのかを必死に考えて、そして気付いた。
…ラスの花冠が残念な感じになっていることに。
「…………」
ラスにばれないように何本かの花を取り除き、ゆるゆるのよれよれにすると、それをラスに差し出して見てもらった。
「教えてないのに作れたの?すごいすごいっ。あのね、私も全然上手じゃないんだけど教えてあげる。あのね、これをこうして…」
「はいできたー!チビにやるよ」
いつの間にかティアラ風の見事な花冠を作っていたコハクがそれをラスの頭に乗っけるとラスがとても喜んだので、いじけたデスは自分の作った花冠を放り投げてごろんと寝転んで丸くなった。
「デスがいじけちゃった。膝枕してあげるからおいで」
「……うん」
「あぁーっ、余計なアドバイスするんじゃなかったー!」
いつもいいところをデスに持っていかれるが、それはそれで楽しかったし今日はめでたいことがあったので、デスをいじめるのをやめてラスの膝枕争奪戦を開始した。
「はいコー、飴あげる」
グリーンリバーの黄金の花の蜂蜜でできた飴をコハクの口の中に放り込んだ後、口を開けて待ち構えていたデスの口に入れてあげると、直後がりがりと飴を噛む音がして、ラスはじたばたと手をばたつかせた。
「もう噛んだのっ?もったいないよ!」
「そいつさあ、ほっせぇくせに大食漢なのな。いつかデブになってさらにハゲたらチビに見向きもされなくなるぞ」
「…………いやだ…」
「味わって食べてね?はいもう1個」
今度はちゃんと口の中で転がして味わい、ラスはそれを確認してから自分の口の中にいれてからころと音を鳴らして澄み切った夏空を見上げた。
「ここに来てよかった。コー、正装してって言われてたよね?じゃあデスも真っ黒な服はやめてね。私がコーディネートしてあげるっ」
「……うん…」
本当は真っ黒な服以外は着たくないのだが、ラスのためならと頷いたデスは膝を抱えて小川の中を気持ちよさそうに泳いでいる小魚の鱗が反射してきらきらしているのを見つめていた。
「あー眠たくなってきた」
「寝てていいよ。あ、じゃあ私お花の冠作ってあげる。前より上手になったはずだから」
言いざまに赤や黄色や紫の花を摘んだラスが不器用な手つきで花を編んでいるのを膝枕されたまま楽しそうに見ていたコハクは、デスがラスの手元を覗き込んで見よう見まねで花冠を編み、それがまた…ラスの花冠より比べ物にならない位に精度が高いので、ごほんと咳払いをした。
「……?」
ラスは花冠を作るのに夢中で顔を上げず、コハクは何度もデスに目配せをして、デスは無表情ながらもコハクが何を訴えかけているのかを必死に考えて、そして気付いた。
…ラスの花冠が残念な感じになっていることに。
「…………」
ラスにばれないように何本かの花を取り除き、ゆるゆるのよれよれにすると、それをラスに差し出して見てもらった。
「教えてないのに作れたの?すごいすごいっ。あのね、私も全然上手じゃないんだけど教えてあげる。あのね、これをこうして…」
「はいできたー!チビにやるよ」
いつの間にかティアラ風の見事な花冠を作っていたコハクがそれをラスの頭に乗っけるとラスがとても喜んだので、いじけたデスは自分の作った花冠を放り投げてごろんと寝転んで丸くなった。
「デスがいじけちゃった。膝枕してあげるからおいで」
「……うん」
「あぁーっ、余計なアドバイスするんじゃなかったー!」
いつもいいところをデスに持っていかれるが、それはそれで楽しかったし今日はめでたいことがあったので、デスをいじめるのをやめてラスの膝枕争奪戦を開始した。