魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その頃ラスたちは輪になって踊っていた。
「これじゃまるでキャンプファイアーだな」
「でも楽しいっ。きゃーっ」
ラスが間違っても転ばないようなゆっくりとした速さで皆で手を繋いで踊り、カイたちと仲直りができてそれを本当に喜んでいたラスは、カイの腰に抱き着くと大好きな父王を見上げた。
「今夜はお父様とも一緒に寝たいな。3人で寝ようよ、駄目?」
「そうだね、少し仕事が残っているから顔を見に行くよ。さあ、今日はもうゆっくりして寝なさい。明日の朝迎えに行くからね」
「うん、わかった!」
着慣れない服のせいでずっとまごついていたデスが椅子にかけていたいつもの愛用の黒いローブを頭からすっぽり被ると、ようやく落ち着いたのかほっとした顔をした。
それはカイとソフィーの奇異の目があったせいでもあるし、コハクもそのことに気付いていたので、ラスを抱っこして部屋を出たコハクは、用意された客間に向かって歩きつつ、欠伸をしたラスの頬をぺろぺろと舐めた。
「俺たち客間で寝るし、チビはソフィーの部屋な。俺の天使ちゃん、寂しがって泣くなよ」
「うん、大丈夫。お母様にコーのこと沢山教えてわかってもらうの。私頑張るから」
「サンキュ。ほらソフィーが来たぞ、じゃあまた朝な」
「うん…」
少しだけ心細げな声を出したラスの掌にちゅっとキスをしたコハクはデスの肩を抱いて背を向けて歩き出した。
ソフィーはそんなコハクたちの背中を見送っているラスの手を繋いで私室へと向かい、憑き物が取れたような顔をしていたコハクの変化に苦笑した。
「あなたが魔王を変えたの?」
「え?私なんにもしてないよ?どっちかっていうとコーが私を変えてくれたの。だってお母様、私お料理ができるようになったんだよ。…まだ下手だけど」
「…そうね、あなたはもう王女ではなくなるのだから料理は上手な方がいいわ。お母様の秘密のレシピを教えてあげる。お父様を虜にした秘密のレシピよ」
「ほんとっ!?見たい見たいっ、お母様早く行こっ」
年々カイに似てくるラスの美貌――
この2年の間それこそ書記官が把握できないほどの数のラス宛てのラブレターが届いたが、全て丁重に断ってきた。
実はもう…魔王の城へと旅立って行った時には半ばこうなる運命は決まっていたのかもしれない。
ソフィーは早速コハクの魅力について語り出した愛娘の髪を撫でて、聞き役に徹した。
「これじゃまるでキャンプファイアーだな」
「でも楽しいっ。きゃーっ」
ラスが間違っても転ばないようなゆっくりとした速さで皆で手を繋いで踊り、カイたちと仲直りができてそれを本当に喜んでいたラスは、カイの腰に抱き着くと大好きな父王を見上げた。
「今夜はお父様とも一緒に寝たいな。3人で寝ようよ、駄目?」
「そうだね、少し仕事が残っているから顔を見に行くよ。さあ、今日はもうゆっくりして寝なさい。明日の朝迎えに行くからね」
「うん、わかった!」
着慣れない服のせいでずっとまごついていたデスが椅子にかけていたいつもの愛用の黒いローブを頭からすっぽり被ると、ようやく落ち着いたのかほっとした顔をした。
それはカイとソフィーの奇異の目があったせいでもあるし、コハクもそのことに気付いていたので、ラスを抱っこして部屋を出たコハクは、用意された客間に向かって歩きつつ、欠伸をしたラスの頬をぺろぺろと舐めた。
「俺たち客間で寝るし、チビはソフィーの部屋な。俺の天使ちゃん、寂しがって泣くなよ」
「うん、大丈夫。お母様にコーのこと沢山教えてわかってもらうの。私頑張るから」
「サンキュ。ほらソフィーが来たぞ、じゃあまた朝な」
「うん…」
少しだけ心細げな声を出したラスの掌にちゅっとキスをしたコハクはデスの肩を抱いて背を向けて歩き出した。
ソフィーはそんなコハクたちの背中を見送っているラスの手を繋いで私室へと向かい、憑き物が取れたような顔をしていたコハクの変化に苦笑した。
「あなたが魔王を変えたの?」
「え?私なんにもしてないよ?どっちかっていうとコーが私を変えてくれたの。だってお母様、私お料理ができるようになったんだよ。…まだ下手だけど」
「…そうね、あなたはもう王女ではなくなるのだから料理は上手な方がいいわ。お母様の秘密のレシピを教えてあげる。お父様を虜にした秘密のレシピよ」
「ほんとっ!?見たい見たいっ、お母様早く行こっ」
年々カイに似てくるラスの美貌――
この2年の間それこそ書記官が把握できないほどの数のラス宛てのラブレターが届いたが、全て丁重に断ってきた。
実はもう…魔王の城へと旅立って行った時には半ばこうなる運命は決まっていたのかもしれない。
ソフィーは早速コハクの魅力について語り出した愛娘の髪を撫でて、聞き役に徹した。