魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
盛り上がっていると、デスがこっそり戻ってきて、皆に気付かれないように部屋の隅に移動したのをグラースは見逃さなかった。
気配を殺したデスの存在感はまさに希薄そのもので、ラスたちは全く気付いていないようだったが、常日頃気を怠らないグラースは、壁に寄りかかったデスの隣に立つと、腰を突いた。
「どうした?動揺しているようだが」
「……動揺……?…して…ない…」
「嘘をつけ。じゃあ熱でもあるのか?顔が赤いぞ」
デスが眉を潜めたのでグラースが手を伸ばして頬に触れてみると…確かに少し熱い。
だが以前デスにキスをしたりしたことで思い切り敬遠されているグラースからささっと離れたデスは、そのまま無言でラスに近付き、カイの横を素通りして驚かせた。
「君は死神の…?おやおや、随分と私のプリンセスに懐いているようだね。魔王、お前はそれをどうとも思わないのか?」
「へっ、何度注意したと思ってんだよ。注意しても治らねえから時々やきを入れてやってんだけどさ、そいつ利かねえんだよな」
ビスケットを両手で持ってもぐもぐしていたラスの隣に座ったデスが、ラスを撫でくり回しているのをじっとりした目で見ていたコハクがそう返すと、ラスがデスにビスケットを1枚手渡した。
「お腹空いたんでしょ?これあげる」
「……俺……ラスのこと…好き…」
一同が目を見張り、ラスに突然告白したデスに視線を注いだが、デスは彼らのそんな視線にも一向に怖気ることなく、元々少し垂れた目元をさらに緩ませて、ラスをぽうっとさせた。
「ありがとう、私もデスのこと大好きだよ」
「……うん。……俺のこと………触りたい?」
「え?私がデスを?うん、もうちょっと太ってくれたら抱き着いても骨があたらないから嬉しいかな」
「………うん…じゃあ……頑張る…」
まるでとんちんかんな会話だったが、デスはそれで満足したのか、憤然と歩み寄ってくるコハクから逃げるようにさっと立ち上がると、極めて珍しく、にやりと笑った。
「てめえ…なにチビに告ってんだ!チビには俺という超絶かっこいい旦那が…」
「……じゃあ俺…仕事…行って来る…」
「うん、行ってらっしゃい。じゃあおやつにビスケット全部持っていっていいよ」
ピンク色のハンカチにビスケットを数枚包んでデスに手渡して腰に抱き着いたラスの頭をよしよしと撫でたデスが部屋を出て行く。
「死神はお前のライバルなのか?」
「ライバルなもんか。あんなん俺に敵うわけねえだろ」
またコハクもデスが本気で告白したことに気付いていなかったが、変化の兆しを少しずつ見せるデスの様子が嬉しくて、減らず口を叩きながらもふっと笑った。
気配を殺したデスの存在感はまさに希薄そのもので、ラスたちは全く気付いていないようだったが、常日頃気を怠らないグラースは、壁に寄りかかったデスの隣に立つと、腰を突いた。
「どうした?動揺しているようだが」
「……動揺……?…して…ない…」
「嘘をつけ。じゃあ熱でもあるのか?顔が赤いぞ」
デスが眉を潜めたのでグラースが手を伸ばして頬に触れてみると…確かに少し熱い。
だが以前デスにキスをしたりしたことで思い切り敬遠されているグラースからささっと離れたデスは、そのまま無言でラスに近付き、カイの横を素通りして驚かせた。
「君は死神の…?おやおや、随分と私のプリンセスに懐いているようだね。魔王、お前はそれをどうとも思わないのか?」
「へっ、何度注意したと思ってんだよ。注意しても治らねえから時々やきを入れてやってんだけどさ、そいつ利かねえんだよな」
ビスケットを両手で持ってもぐもぐしていたラスの隣に座ったデスが、ラスを撫でくり回しているのをじっとりした目で見ていたコハクがそう返すと、ラスがデスにビスケットを1枚手渡した。
「お腹空いたんでしょ?これあげる」
「……俺……ラスのこと…好き…」
一同が目を見張り、ラスに突然告白したデスに視線を注いだが、デスは彼らのそんな視線にも一向に怖気ることなく、元々少し垂れた目元をさらに緩ませて、ラスをぽうっとさせた。
「ありがとう、私もデスのこと大好きだよ」
「……うん。……俺のこと………触りたい?」
「え?私がデスを?うん、もうちょっと太ってくれたら抱き着いても骨があたらないから嬉しいかな」
「………うん…じゃあ……頑張る…」
まるでとんちんかんな会話だったが、デスはそれで満足したのか、憤然と歩み寄ってくるコハクから逃げるようにさっと立ち上がると、極めて珍しく、にやりと笑った。
「てめえ…なにチビに告ってんだ!チビには俺という超絶かっこいい旦那が…」
「……じゃあ俺…仕事…行って来る…」
「うん、行ってらっしゃい。じゃあおやつにビスケット全部持っていっていいよ」
ピンク色のハンカチにビスケットを数枚包んでデスに手渡して腰に抱き着いたラスの頭をよしよしと撫でたデスが部屋を出て行く。
「死神はお前のライバルなのか?」
「ライバルなもんか。あんなん俺に敵うわけねえだろ」
またコハクもデスが本気で告白したことに気付いていなかったが、変化の兆しを少しずつ見せるデスの様子が嬉しくて、減らず口を叩きながらもふっと笑った。