魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
しばらくするとようやくデスが身体を起こしたので、それまでじっとしていたラスは、腹に手を伸ばしてきたデスの骨の指をきゅっと握った。
「はあ、苦しかったっ。お仕事疲れちゃったんだね、お疲れ様。何か作ってあげようか?お腹空いたんでしょ?」
「………ううん。…ごめん…」
「?今どうして謝ったの?えっとねえ…あったあった、これ食べる?」
ラスがソファに置いていた愛用のショルダーバッグの中から出したのは、かつてコハクを捜す旅に出た時にオーディンからもらった金色のキャンディだ。
“必要だと思った時に使いなさい”というような趣旨のことを言われていたので、今がその時だと考えたラスが手渡そうとしたのだが、デスはふるふると首を振って膝を抱えると、身体を上下に揺すりだす。
明らかに落ち着きがなく、心配で仕方がなくなったラスは、キャンディを口に入れつつも何も言わずにデスと同じ姿勢になって、同じように身体を上下に揺すりだすと、ようやくデスがふっと儚い、ローブを脱いだ。
「………小さな…女の子だった……」
「…そっか。悲しかったんだね。お仕事…嫌になったの?」
「………わからない…。仕事…放棄すると……俺の存在意義が…なくなる…」
そう言って骨の両手を見下ろしたデスは悩みを抱えて苦しんでいるように見えたので、どう励ましていいのかわからなくなったラスがデスの腕に抱き着いて引っ付くと、また少しだけ笑みを見せたデスに安心して、骨だけの指に指を絡めて腕に頬をなすりつけた。
「そんなことないよ。いつか神様が“もうしなくていいよ”って言ってくれるから、頑張ろ?ね?」
「……うん。やっぱり…それ…貰う…」
「え?………んっ」
――突然デスが唇を重ねてきたので、ラスが驚きのあまり瞳を見開いて動けなくなったが、至近距離のデスのまつ毛が触れそうな距離で舌を差し込まれて身体が引き攣った。
瞳を閉じたデスは下でキャンディを探し当てると、さらに深く唇を割って口移しでキャンディを手に入れてすぐに身体を離したが、縦横無尽に舌で口腔内を探し回られたラスはぐったりしてソファに突っ伏す。
「………ラス…?」
「も、もう…っ、欲しいならあげるから言ってっ。コーに怒られちゃう…。でもキスじゃないからいいのかな…」
「……キス……」
デスの頭の中にベンチで拾った本が浮かび、その中に書かれてあった“触りたいと思うか”という項目を思い出したが、今ので十分だと思った。
「………秘密…」
身体を傾けてラスの耳元で囁くと、ラスがくすぐったそうにしてきゅっと瞳を閉じた。
それで満足したデスは、いつものようにラスを撫で回して安心させると、あんなに揺れていた心を落ち着かせてくれたラスに感謝をして、手を引っ張って立たせた。
「はあ、苦しかったっ。お仕事疲れちゃったんだね、お疲れ様。何か作ってあげようか?お腹空いたんでしょ?」
「………ううん。…ごめん…」
「?今どうして謝ったの?えっとねえ…あったあった、これ食べる?」
ラスがソファに置いていた愛用のショルダーバッグの中から出したのは、かつてコハクを捜す旅に出た時にオーディンからもらった金色のキャンディだ。
“必要だと思った時に使いなさい”というような趣旨のことを言われていたので、今がその時だと考えたラスが手渡そうとしたのだが、デスはふるふると首を振って膝を抱えると、身体を上下に揺すりだす。
明らかに落ち着きがなく、心配で仕方がなくなったラスは、キャンディを口に入れつつも何も言わずにデスと同じ姿勢になって、同じように身体を上下に揺すりだすと、ようやくデスがふっと儚い、ローブを脱いだ。
「………小さな…女の子だった……」
「…そっか。悲しかったんだね。お仕事…嫌になったの?」
「………わからない…。仕事…放棄すると……俺の存在意義が…なくなる…」
そう言って骨の両手を見下ろしたデスは悩みを抱えて苦しんでいるように見えたので、どう励ましていいのかわからなくなったラスがデスの腕に抱き着いて引っ付くと、また少しだけ笑みを見せたデスに安心して、骨だけの指に指を絡めて腕に頬をなすりつけた。
「そんなことないよ。いつか神様が“もうしなくていいよ”って言ってくれるから、頑張ろ?ね?」
「……うん。やっぱり…それ…貰う…」
「え?………んっ」
――突然デスが唇を重ねてきたので、ラスが驚きのあまり瞳を見開いて動けなくなったが、至近距離のデスのまつ毛が触れそうな距離で舌を差し込まれて身体が引き攣った。
瞳を閉じたデスは下でキャンディを探し当てると、さらに深く唇を割って口移しでキャンディを手に入れてすぐに身体を離したが、縦横無尽に舌で口腔内を探し回られたラスはぐったりしてソファに突っ伏す。
「………ラス…?」
「も、もう…っ、欲しいならあげるから言ってっ。コーに怒られちゃう…。でもキスじゃないからいいのかな…」
「……キス……」
デスの頭の中にベンチで拾った本が浮かび、その中に書かれてあった“触りたいと思うか”という項目を思い出したが、今ので十分だと思った。
「………秘密…」
身体を傾けてラスの耳元で囁くと、ラスがくすぐったそうにしてきゅっと瞳を閉じた。
それで満足したデスは、いつものようにラスを撫で回して安心させると、あんなに揺れていた心を落ち着かせてくれたラスに感謝をして、手を引っ張って立たせた。