魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
広場に集まっていた人々が続々と城の周辺に集結し始めた。
それを窓辺から見ていたコハクは、ソファに座っていたラスを置いて部屋から出て行こうとして、慌てたリロイに呼び止められた。
「影!どこに行くんだ?」
「お前はこれからスピーチだろ。カイ、とフィリア、お前らは小僧の後ろに突っ立ってゴールドストーン王国とレッドストーン王国が後ろ盾になってるってのを見せつけろ。ボイン、お前は小僧の隣だ。結婚式の準備は嫌だけど俺が手伝ってやる。じゃあな」
「コー、待ってっ。置いてかないでっ」
「チビは小僧のスピーチ見たいんだろ?俺は先に帰っとくからデスと一緒に帰って来いよ」
突き放された気分になったラスが両腕を伸ばして抱っこをせがむと、それを待っていたコハクはにやりと笑いながらラスを抱っこした。
それに続いてデスものそりと立ち上がり、本来はクリスタルパレスを再興させて鼻高々になっているはずのコハクが影に徹しようとしていることにリロイは疑問を感じてコハクの腕を掴んだ。
「ここはお前とラスが再興させた街だ。…僕が横取りするようなまねはしたくない」
「横取りじゃねえよ、めんどくせえから任せるっつってんだろが。俺さあ、早く戻りてえんだよ。なんでかは秘密ー」
リロイのスピーチを聴いてみたいと思っていたラスだったが、この街のリーダーとなってここに住むからにはご近所さんとなる。
寂しさを感じることもないし、しょっちゅう遊びに行ったり来たりして親睦を深め合えることがわかったので、それよりもラスはコハクと一緒に過ごす時間を選んだ。
「じゃあね、みんな。私グリーンリバーで大人しくしてるから。ティアラ、一緒にブーケと花冠を作る練習しようね」
「ええ。ラス…私幸せすぎてどうしたらいいか…」
「2年かかったんだよ。私たち…2年かかったの。神様が“そろそろ幸せになっていいよ”って言ってくれたんだよきっと。今夜はご馳走にしようね!」
涙ぐむティアラに手を振ったラスとコハクとデスが部屋から出て行くと、まだどこか呆然としている表情のリロイの肩を抱いたカイは同じようにして部屋を出て行きながら、完成の沸いている外へと向かう。
「私のプリンセスがとてもいい言葉を贈ったね。君もそろそろ幸せになっていいと思う。クリスタルパレスを王国に加盟させることと、私とフィリアの国からのサポートは任せなさい。これから忙しくなるよ」
「陛下…僕も…幸せすぎて、どうしたらいいか…」
ティアラと同じことを言って唇を震わせるリロイの金の髪をくしゃくしゃとかき混ぜたカイは、フィリアと密かに笑みを交わして螺旋階段を下りた。
それを窓辺から見ていたコハクは、ソファに座っていたラスを置いて部屋から出て行こうとして、慌てたリロイに呼び止められた。
「影!どこに行くんだ?」
「お前はこれからスピーチだろ。カイ、とフィリア、お前らは小僧の後ろに突っ立ってゴールドストーン王国とレッドストーン王国が後ろ盾になってるってのを見せつけろ。ボイン、お前は小僧の隣だ。結婚式の準備は嫌だけど俺が手伝ってやる。じゃあな」
「コー、待ってっ。置いてかないでっ」
「チビは小僧のスピーチ見たいんだろ?俺は先に帰っとくからデスと一緒に帰って来いよ」
突き放された気分になったラスが両腕を伸ばして抱っこをせがむと、それを待っていたコハクはにやりと笑いながらラスを抱っこした。
それに続いてデスものそりと立ち上がり、本来はクリスタルパレスを再興させて鼻高々になっているはずのコハクが影に徹しようとしていることにリロイは疑問を感じてコハクの腕を掴んだ。
「ここはお前とラスが再興させた街だ。…僕が横取りするようなまねはしたくない」
「横取りじゃねえよ、めんどくせえから任せるっつってんだろが。俺さあ、早く戻りてえんだよ。なんでかは秘密ー」
リロイのスピーチを聴いてみたいと思っていたラスだったが、この街のリーダーとなってここに住むからにはご近所さんとなる。
寂しさを感じることもないし、しょっちゅう遊びに行ったり来たりして親睦を深め合えることがわかったので、それよりもラスはコハクと一緒に過ごす時間を選んだ。
「じゃあね、みんな。私グリーンリバーで大人しくしてるから。ティアラ、一緒にブーケと花冠を作る練習しようね」
「ええ。ラス…私幸せすぎてどうしたらいいか…」
「2年かかったんだよ。私たち…2年かかったの。神様が“そろそろ幸せになっていいよ”って言ってくれたんだよきっと。今夜はご馳走にしようね!」
涙ぐむティアラに手を振ったラスとコハクとデスが部屋から出て行くと、まだどこか呆然としている表情のリロイの肩を抱いたカイは同じようにして部屋を出て行きながら、完成の沸いている外へと向かう。
「私のプリンセスがとてもいい言葉を贈ったね。君もそろそろ幸せになっていいと思う。クリスタルパレスを王国に加盟させることと、私とフィリアの国からのサポートは任せなさい。これから忙しくなるよ」
「陛下…僕も…幸せすぎて、どうしたらいいか…」
ティアラと同じことを言って唇を震わせるリロイの金の髪をくしゃくしゃとかき混ぜたカイは、フィリアと密かに笑みを交わして螺旋階段を下りた。