魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
スピーチを終えて戻ってきたリロイたちは、いつもより慌ただしく城内を走り回るエプロン姿の魔物たちを見て首を傾げながらも、コハクの部屋のドアが開いていて中を覗き込んだ。


「影?何をして……え?」


部屋には所狭しとウェディングドレスを着ているマネキンが何体も立ち、コハクがティアラを指すと、優男の業者の男がティアラににじり寄った。


「こちらが?あらあらお綺麗なお方!さぞかし綺麗な花嫁となるでしょう!さあ、採寸させてもらいますわよ!」


「え?あ、あの…」


「ティアラっ、結婚式は1週間後だから早く色々決めようねっ。私もお手伝いするから」


「1週間後!?リロイ…どうしましょう…」


コハクとリロイとデス以外の全員が初耳だったが、カイが粋なポーズを取っているマネキンたちの間を縫って歩いてにこにこしているラスの頭を撫でると、フィリアを呼び寄せた。


「フィリア、国民に早急に触れを。場所が場所なだけにレッドストーン王国の国民はここに駆け付けるまで数か月はかかるだろうから、レッドストーン王国とクリスタルパレスの計2回結婚式を挙げてもらうことになるね」


「2回…ですか!?陛下…1週間後ですよ!?」


「きっと魔王が協力してくれるから間に合うだろう。私もそろそろ戻らなくてはいけないから、私の国の国民たちにも触れを出しておくよ。きっと大勢の国民が君たちを祝福しに駆け付けてくれるだろう」


「お父様、もう帰っちゃうのっ?これからが楽しいのに…」


「お母様をずっと独りにさせておくわけにはいかないからね。また1週間後に会えるんだから寂しがらないでおくれ、私のプリンセス」


カイがラスの頬にちゅっとキスをすると、コハクが表情を歪めたが、すぐにラスを抱っこしてラスの右腕を取って振った。


「じゃあなカイ、フィリア。派手にやるぞー、チビも手伝ってくれよな」


「うんっ、わかった!ティアラ、早く採寸してもらって!カタログもあるし、ブーケと花冠も作らなきゃ!大忙し!」


当の本人たちよりも俄然張り切っているラスが握り拳を振り上げてはしゃぎ、若干まだこの状況を呑み込めていないリロイとティアラは離れ離れにさせられて簡易の試着室に連れ込まれた。

ラスはその間にウェディングドレスを着ているマネキンたちを見て回って瞳を輝かせていて、コハクにちゅっとキスをされた。


「チビも早く着たいだろ?すっげえ可愛いだろうなー、想像だけでコーフンする!」


「ベビーが生まれたらすぐ結婚式挙げようね。楽しみっ」


そしてまたウェディングドレスに見惚れて、うっとりしていた。
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