魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクに後ろ抱っこされながらバスタブに浸かったラスは、薔薇の香りのするマニキュアを爪に塗ってもらいながら、カイと過ごした1日を振り返った。


「私に弟か妹ができるかもしれないって言ってたよね。でもベビーが王国を継ぐっていうのもありだと思わない?」


「無し!俺とチビの子供たちは王国には関わりません!ここでみんなで暮らすんだって言ったろ?」


「“子供たち”?もおコー、私赤ちゃんを何人生めばいいの?」


「何人でも。だってチビは不死になるだろ?あ、そうだ、俺たちで王国作ればいいじゃん。俺一族の王国!」


綺麗に塗ってもらったマニキュアにふうふう息を吹きかけて乾かしたラスは、コハクそっくりの男の子たちに囲まれて過ごす日々を想像してにまにましてしまうと、身体の向きを変えて真向かいになり、コハクの顔を赤くさせた。


「な、なんだよ急に振り向くなよな。ベビー、パパでちゅよー」


「コー、ここで襲ってもいい?」


「へっ!?い、いやあ、でも声がひび……いや、チビがしたいようにすればいいと思う!」


「でもここじゃお布団で身体隠せないし…コー、ベッドに連れてって」


首に抱き着いてきたラスの胸が妊娠前より大きくなっていることに薄々…いや、完全に気付いてはいたのだが、むにゅっと押し付けられた胸に俄然爆発寸前の魔王は、バスタオルでラスの身体を包み込んで抱っこすると、ラスのために指を鳴らして部屋の照明を暗くした。


「ところでなんで突然こんな展開になったんだ?や、俺は嬉しいけどさあ…チビが積極的だと照れるんだけど」


「あのね、赤ちゃんの本に“妊娠中は旦那の浮気に気を付けて”って書いてあったの。浮気なんかされたら私絶対耐えられないからコーにご奉仕しなきゃって思ったの」


「ご奉仕!すげえコーフンする言葉なんだけど!つっても浮気は絶対しねえから安心しろって。チビみたいな可愛くてサイコーな女は2人といねえんだ」


ベッドに下ろしてもらうと、バスローブ姿のコハクを押し倒して馬乗りになったラスは、どきどきしながら不器用なキスを交わした。

一瞬コハクが食らいつくようにして舌を絡めてきたが、ラスがぺしっと小さく頬をはたくと大人しくなり、されるがままになる。


「私の好きなようにしていいって言ったでしょ?どんなイタズラしちゃおっかな」


「い、イタズラ!?も、やべえ!頑張ってじっとしてます!」


ムードもへったくれもなかったが、それがコハクらしくてつい笑ったラスは、コハクのガウンのロープに手をかけた。
< 612 / 728 >

この作品をシェア

pagetop