魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
リロイたちの結婚式の準備が粛々と進められ、その工程をしっかりと目に焼き付けていたラスは、邪魔にならないようにバルコニーに出てロッキンチェアに揺られていた。

屋上からは金色の花がはらはらと舞い降りて、日増しに大きくなる腹を撫でながら、ベルルと談笑をする。


「ベルルがくれた腹帯のおかげでベビーが無事に生まれてきそう。ありがと」


「でも油断しないでよね。流産だけはしないと思うけど、転んだりしたら元も子もないんだから」


「最近ベビーがすっごくお腹を蹴るの。時々手の形もわかるんだよ。触ってみる?」


大きくなったベルルが椅子を引き寄せてラスの隣に座って腹に手をあてると…しばらくしてからベルルの大きな黒瞳が輝いた。


「動いた!うわあ、すごい!生まれてくるのが楽しみだね!」


「うん、もうすぐだよ。本当は私も早くウエディングドレス着たいんだけど…こんなお腹じゃサイズがないし、ベビーを生んでから可愛いウエディングドレスを着るの。もうデザインも考えたんだよ」


得意げにテーブルに置いていた巻き髪を広げてベルルに見せてきゃっきゃと声を上げていると、準備に疲れたティアラがよろよろしながらバルコニーに現れた。

目の下にはくまができて、眠る時間を削ってまで準備に追われているティアラを可哀そうだと思ったラスが部屋の中を覗き込む。

絶対に絶対に自分から意識を外さないコハクとすぐに目が合うと、ちょいちょいと手で招き寄せて両手を握った。


「コー、花嫁さんのエステはしてあげないの?目の下にくまができてる花嫁さんは幸せそうに見えないと思うよ?」


「ああ、ボインには今日から毎日エステに通ってもらうからな。チビは元々綺麗だからエストには通わなくていいからな」


でれでれしながら腰を折ってラスにキスをしたコハクがまた部屋の中へ戻って行き、疲れ果てた様子で椅子に座ったティアラがラスのデザイン画を見て笑みを浮かべた。


「それ可愛いわね。私の場合は時間が足りなくてオリジナルのウエディングドレスは無理だけど、レースがとっても長いらしいの。ねえラス…これって夢じゃないわよね?私…本当にリロイと結婚するのよね?」


「うん、そうだよ。ティアラは勇者様と結婚するの。うちの王国からリロイを奪われちゃったけど、これからはご近所さんだから沢山遊びに行くから。それに早く赤ちゃん作ってね、同い年だと嬉しいな」


室内では2人の勇者様が額を突き合わせて打ち合わせをしている。

2人のお姫様は、勇者様を熱い眼差しで見つめてほうと息をついた。
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