魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ほぼ四六時中傍に居るのに、自分の目を搔い潜ってティアラの花冠を一生懸命作っていたラス――

きゅんきゅんしたコハクは、改めてラスと共に永遠を生きるために、必ず不死の魔法を完成させようと決めて、ふっと笑った。

その笑みが掻き消えるような笑みだったので、それに気付いたラスが花冠をティアラの胸に押しつけて遥か頭上にあるコハクの顔を見つめる。

コハクは――腰に手をあててラスの頭をぐりぐり撫でると、手をひらひら振って出入り口に向かった。


「コー、どこ行くのっ?」


「外ー。デスが教会には入りたくねえっていじけてたろ?ちょっとからかってくる。チビはカイから離れんなよ」


「私も行くっ。一緒に連れてって」


「駄目!ただでさえもう腹が重たくなってきてんのに、出歩いちゃ駄目!絶対!カイ、頼んだぞ。ボイン、お前は早く支度して来いって。じゃあな」


時々コハクが見せる真剣な顔が垣間見えて不安になったラスは、力なくソファに座ると、肩を抱いてきたカイに寄りかかってため息をついた。


「どうしたのかな?これから新たな門出を迎える者たちも居るのだから、ため息をついてはいけないよ」


「…うん…。でもお父様…コーがちょっとおかしいの。何か隠し事してるみたいで…2年前も沢山隠し事されてたの。あとで全部教えてくれたけど…また女の人関係なのかな。…やだな…」


「魔王が浮気をするとでも思っているのかい?あれは性格が悪い男だけれど、君を差し置いて他の女性と浮気をするような男じゃないよ。仮にそうだとしたら…私が再び魔法剣で切り刻んであげよう」


…なまじ冗談とは言えない雰囲気を醸し出しつつも笑顔のカイにぞくっと背筋が震えたラスは、腕に抱き着きながらもいやいやと首を振った。

コハクは以前“絶対浮気をしない”と約束してくれたし、それを信じている。

だけど何か隠し事をされているという確信がある故に、今すぐコハクの元へ行って問い質したかったが…今日はリロイとティアラの晴れ舞台の日。

そわそわしながらもカイやフィリアと談笑していたラスが待ちきれなくなってとうとう立ち上がると、それを待っていたかのようにコハクが控室に戻って来て、瞳を潤ませたラスを抱っこした。


「どうした?寂しかったのか?可愛いんだよこんにゃろ!」


「コーの馬鹿。置いてかないでって言ってるでしょ」


文句を言いながらコハクの両耳を引っ張ったラスは、コハクの首に抱き着いてひっついて離れなくなった。
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