魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ティアラが国を捨ててゴールドストーン王国の騎士だった男と結婚すること自体、青天の霹靂だったレッドストーン王国の国民たちだったが――
先程正式にフィリア女王から国民に通達があった情報は瞬く間に知られることになり、彼らの過熱ぶりは増すばかりだった。
“クリスタルパレス王国の誕生に、新王リロイと王妃ティアラの凱旋帰国”――
王国から人見知りではあるがとても思いやりがあって可憐なティアラを奪ったことを詰ってやろうと考えていた者もいたが、ティアラは違う王国の王妃となったのだ。
しかもイエローストーン王国の跡地を礎として長きにわたって建国に携わり、その末にティアラと結ばれたリロイは名高き勇者でもあり、ドラゴンテイマーの名を冠す者。
全てが完璧であり、ぐうの音も出ないほどにリロイとティアラはお似合いで完璧な夫婦となるはず。
さらに彼らの結婚を祝福するために隣国ゴールドストーン王国から駆けつけたカイ国王とソフィー王妃、そして…この世で最も美しいと言われているラス王女が馬車で現れた時は、歓声で耳が痛いほどだった。
「わあ、うちもすごかったけど、ここもすごく盛り上がってるね。私が結婚する時もこんな風にお祝いしてもらえるかなあ」
「そりゃ当然だろ。チビはさあ、1番可愛くて綺麗なんだからな。俺はその旦那になるんだし!ベビーが生まれたらすぐ結婚式挙げような」
「うん!デス大丈夫?人ごみに酔ったらすぐ言うんだよ。あ、日傘は今日は差しちゃ駄目!眩しいかもしれないけど今日だけは我慢してね」
「………じゃあ…ここに…チューして」
デスが自らの頬を骨の指でちょんちょんと突いたので、コハクが眉を潜めたのが目に入ったラスは、何の躊躇もなくデスの頬にちゅっとキスをしてさらさらの黒髪に指を潜らせた。
「これでいい?結婚式が終わったらパーティーがあるし、美味しいものが沢山食べれるから楽しみにしようね。ねえコー、今日はパーティーに参加してもいいよね?」
「ああ、チビの体調次第だけど……おいデス!お前なに調子こいてチビのほっぺにキスしてんだ!その骨の指全部折ってやるぞ!」
相変わらず嫉妬丸出しでデスの首を絞めるコハクの心配をよそに、ラスが馬車の扉に手をかけたので慌てたコハクがラスの腰をさらって抱き寄せると、街の入り口で馬車を止めた。
…いつかこうして自分も国民に受け入れてもらえるだろうかと考えると、少しだけ浮き足立った。
先程正式にフィリア女王から国民に通達があった情報は瞬く間に知られることになり、彼らの過熱ぶりは増すばかりだった。
“クリスタルパレス王国の誕生に、新王リロイと王妃ティアラの凱旋帰国”――
王国から人見知りではあるがとても思いやりがあって可憐なティアラを奪ったことを詰ってやろうと考えていた者もいたが、ティアラは違う王国の王妃となったのだ。
しかもイエローストーン王国の跡地を礎として長きにわたって建国に携わり、その末にティアラと結ばれたリロイは名高き勇者でもあり、ドラゴンテイマーの名を冠す者。
全てが完璧であり、ぐうの音も出ないほどにリロイとティアラはお似合いで完璧な夫婦となるはず。
さらに彼らの結婚を祝福するために隣国ゴールドストーン王国から駆けつけたカイ国王とソフィー王妃、そして…この世で最も美しいと言われているラス王女が馬車で現れた時は、歓声で耳が痛いほどだった。
「わあ、うちもすごかったけど、ここもすごく盛り上がってるね。私が結婚する時もこんな風にお祝いしてもらえるかなあ」
「そりゃ当然だろ。チビはさあ、1番可愛くて綺麗なんだからな。俺はその旦那になるんだし!ベビーが生まれたらすぐ結婚式挙げような」
「うん!デス大丈夫?人ごみに酔ったらすぐ言うんだよ。あ、日傘は今日は差しちゃ駄目!眩しいかもしれないけど今日だけは我慢してね」
「………じゃあ…ここに…チューして」
デスが自らの頬を骨の指でちょんちょんと突いたので、コハクが眉を潜めたのが目に入ったラスは、何の躊躇もなくデスの頬にちゅっとキスをしてさらさらの黒髪に指を潜らせた。
「これでいい?結婚式が終わったらパーティーがあるし、美味しいものが沢山食べれるから楽しみにしようね。ねえコー、今日はパーティーに参加してもいいよね?」
「ああ、チビの体調次第だけど……おいデス!お前なに調子こいてチビのほっぺにキスしてんだ!その骨の指全部折ってやるぞ!」
相変わらず嫉妬丸出しでデスの首を絞めるコハクの心配をよそに、ラスが馬車の扉に手をかけたので慌てたコハクがラスの腰をさらって抱き寄せると、街の入り口で馬車を止めた。
…いつかこうして自分も国民に受け入れてもらえるだろうかと考えると、少しだけ浮き足立った。