魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスと手を繋いで城内を歩いていたデスは、先日クリスタルパレス王国で遠目に見たティアラのウェディング姿を回想してラスに重ねてみた。
今でこそ腹は大きいが、出会った当初はほっそりしていてかつふわふわで、ふわふわのウェディングドレス姿が絶対に似合うだろうと思って少し楽しそうな顔をしていると、ラスが腕を引っ張って抱っこをねだった。
「疲れちゃったから抱っこして。ねえデス、人前はもう慣れた?フード被らなくてもちょっとは大丈夫になった?」
「……うん。………でもあんまり…見られたくない…」
「どこを?顔を?手を?私はデスの全部が好きだよ。綺麗だし、優しくて大好き。コーは吊り目だけど、私は垂れ目も好きなの。デスの顔は本当に綺麗なんだから」
…かつてこんなに誉められたことがないのでさすがにデスが少し照れた表情を浮かべると、ラスはコハクからデスが天涯孤独であることを聴いていたので、行ったことのない魔界という異世界を思って抱っこしてくれたデスの頭を撫でた。
「ずっと暗い所に住んでたんでしょ?そこが好きなら仕方ないけど…でも前に話した通りデスにはグリーンリバーに住んでほしいなって思ってるの。ベビーの遊び相手になってやってほしいし、私もデスに傍に居てほしいなって思うから」
「…………ほんと?」
「うん、ほんと。言ったでしょ、私は面食いなの。魔界に帰っちゃったらまた独りで暮らす気なんでしょ?そんなの駄目、絶対許さないんだから。美味しいご飯たくさん用意してあげるから、ずっと一緒に居よ?」
別に食べ物に釣られて傍に居るわけではないが…と言い訳をするのもなんだかおかしいなと思いながらも、デスはこくんと頷いて姫抱っこしたラスの頬に頬ずりをして、ぷるぷるの唇に見入ってしまった。
コハクから唇にキスは駄目だと聴いていたし、かつてラスが寝ている時にこっそりしたこともあったが…なんだか身体がおかしくなってしまうので、ここは耐えてみる。
「………ラスの…ウェディングドレス姿……見たい…」
「うん、ベビーを生んだら見せてあげる。すっごく可愛いデザインに仕上がったの。ベビーを生んだらダイエットして体重を元に戻さなきゃっ」
――ラスの体調に異変は感じられない。
理を破ってラスと子供の命を救った死神は、あれからずっと“神に試されている”と思いながら日々を過ごしていた。
この骨の手にいつか肉がつく日が訪れるようにと願いながら、救った命を大切にしようと思った。
今でこそ腹は大きいが、出会った当初はほっそりしていてかつふわふわで、ふわふわのウェディングドレス姿が絶対に似合うだろうと思って少し楽しそうな顔をしていると、ラスが腕を引っ張って抱っこをねだった。
「疲れちゃったから抱っこして。ねえデス、人前はもう慣れた?フード被らなくてもちょっとは大丈夫になった?」
「……うん。………でもあんまり…見られたくない…」
「どこを?顔を?手を?私はデスの全部が好きだよ。綺麗だし、優しくて大好き。コーは吊り目だけど、私は垂れ目も好きなの。デスの顔は本当に綺麗なんだから」
…かつてこんなに誉められたことがないのでさすがにデスが少し照れた表情を浮かべると、ラスはコハクからデスが天涯孤独であることを聴いていたので、行ったことのない魔界という異世界を思って抱っこしてくれたデスの頭を撫でた。
「ずっと暗い所に住んでたんでしょ?そこが好きなら仕方ないけど…でも前に話した通りデスにはグリーンリバーに住んでほしいなって思ってるの。ベビーの遊び相手になってやってほしいし、私もデスに傍に居てほしいなって思うから」
「…………ほんと?」
「うん、ほんと。言ったでしょ、私は面食いなの。魔界に帰っちゃったらまた独りで暮らす気なんでしょ?そんなの駄目、絶対許さないんだから。美味しいご飯たくさん用意してあげるから、ずっと一緒に居よ?」
別に食べ物に釣られて傍に居るわけではないが…と言い訳をするのもなんだかおかしいなと思いながらも、デスはこくんと頷いて姫抱っこしたラスの頬に頬ずりをして、ぷるぷるの唇に見入ってしまった。
コハクから唇にキスは駄目だと聴いていたし、かつてラスが寝ている時にこっそりしたこともあったが…なんだか身体がおかしくなってしまうので、ここは耐えてみる。
「………ラスの…ウェディングドレス姿……見たい…」
「うん、ベビーを生んだら見せてあげる。すっごく可愛いデザインに仕上がったの。ベビーを生んだらダイエットして体重を元に戻さなきゃっ」
――ラスの体調に異変は感じられない。
理を破ってラスと子供の命を救った死神は、あれからずっと“神に試されている”と思いながら日々を過ごしていた。
この骨の手にいつか肉がつく日が訪れるようにと願いながら、救った命を大切にしようと思った。