魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その後、部屋にやって来たオーフェンとカイが十数年ぶりに顔を合わせて握手を交わした。

魔王を倒すための旅に出る前からフィリアに惚れていたオーフェンとしては、実にやきもきする道中でもあり、カイに夢中になり、気に入られようと奮起するフィリアを愛しさのあまり、少しだけ憎んでいた時期もあったほどだ。


「久しぶりだな、カイ。こんな形で顔を合わせるとは思っていなかったが」


「ああ、私もだよ。うちの白騎士とティアラ王女…いや、王妃が恋仲になるとはね。クリスタルパレス王国はこれから急激に発展するだろう。うちは支援するつもりでいるが、そちらはどうかな?」


「うちもするとも。フィリア、こちらにおいで」


オーフェンがソファに座っていたフィリアを呼び寄せた時、ベッドに座ってラスと談笑していたソフィーの表情が悲しみに歪んだ。

長い間、カイとフィリアの仲を密かに疑っていたソフィーが無理に笑顔を作ってラスの大きな腹を撫でていると、カイの大きな手が肩に乗り、振り仰ぐと…カイは優しく笑っていた。


「あなた…」


「こっちにおいで。ソフィー…フィリアは旅の仲間だったんだ。君が疑っているようなことは一切なかったからね。私は旅に出る前から君に夢中だったよ」


「きゃっ」


カイとソフィーが抱き合い、両親の仲睦まじい様子に声を上げたラスは、両手で顔を覆いつつも指の隙間から小さなキスを交わした2人を見ていた。

ラスとしても、まだフィリアが父を愛していることには気付いていたが…両親の愛は揺るがないものだと信じていたので何も不安を感じてはいない。


「さあ、挨拶をして。緊張することはないよ」


「ええ…。あなた、傍に居てね」


「もちろん。いつでも君の隣に立っているよ」


ラスから離れたソフィーは、カイに手を引かれてオーフェンとフィリアの前に立った。

…フィリアとしては、冗談でもカイから“君を第2王妃にすればよかった”という言葉だけで…報われていた。


“カイの中で自分は2番目に愛されている女だ”とわかっただけで、想いは昇華されていた。


「こんにちは、ソフィー王妃。あなたとはこうしてお話をする機会にも恵まれなかったわ。よければ旅をしていた時の話を聴いてほしいわ」


「ええ、私も聴いてみたいわ。今夜パーティーの間に是非」


コハクの膝に抱かれていたラスは、ソフィーとフィリアが仲良しになれて脚をばたつかせながら大団円を喜んだ。
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