魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
2年ぶりにこうしてコハクに抱きしめられて眠ることは、2年前までは当たり前だった。

だが…失ってはじめて気づいた。


それは永遠ではなかったのだ、と。


「チビ…?お前なんで泣いて…」


「…ううん、なんでもないよ…」


「んなわけねえだろ、誰に泣かされた?!俺が一発殴りに…」


「コーだよ…コーに泣かされたの」


暗闇の中、コハクの赤い瞳が驚きに見開かれ、ラスは何度もコハクの頬や瞼にキスをして目じりを拭った。



「俺が?つかチビ、爆発するって!」


「寂しかったの。ずっとずっと2年間…コーのことばっか考えて…コーは違った?2年間ずっと眠ってて…私のこと、忘れちゃった…?」



――今まで冷静にと努めていたコハクは、ラスが自分のために泣いてくれていることに感動し、2年間待ち続け、不安に揺れて過ごしてきたラスに強く愛しさを覚え、強く強く抱きしめた。



「…んなわけねえだろ!チビ…夢の中でお前を沢山見た。お前しか出て来なかった。こうしてまた会えるなんて…それにもう小僧と結婚…」


「結婚なんてしないよ、私にはコーが居るもん!絶対生きてるって思ったんだから!こうやってまた朝まで抱きしめてもらって、一緒に“おはよう”って言うの。私…それだけでいいんだから!」


「チビ…!お前…俺をコーフンさせんなよな、無茶苦茶にしてやりたくなるだろうが…」


「今は駄目なんでしょ?コーが“完全”になったら私をコーの好きなようにしていいんだからね」



コハクが苦笑し、子供のように照れた表情になるとラスはコハクの頭を引き寄せて胸に抱きしめた。


「ぶふぉおっ!チビのっ、胸のっ、胸の谷間が!」


「前はあんまり無かったもんね。ねえコー、みんな元気にしてるよ。ティアラもグラースも前よりすっごく綺麗になってるよ」


「ふうん、興味無し!俺が興味あんのはチビだけ!」


「きゃあーっ!」


全身くすぐられ、今度は違う意味で笑いと涙の止まらないラスとベッドの上でもみくちゃになり、ラスもコハクも強く幸せを感じた。


「朝まで話しようぜ」


「うん!」


2年間の空白は一瞬で吹き飛んだ。
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