魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
散歩をしたことで気分が晴れたのか、笑顔がよく似合ういつものラスに戻ってくれたことでほっとしたコハクは、疲れてもなかなか“疲れた”と口にしないラスを抱っこして、花で彩られている街中を歩いた。
完全に区画整理をしているために居住区と観光スポットの区別がはっきりしているため、観光客は居住区に脚を踏み入れることはほとんどない。
だがコハクは敢えて一軒家の立ち並ぶ居住区に脚を踏み入れると、早速子供たちの大きな歓声が耳に聞こえてきた。
「コー、ここはどこ?」
「ここは観光客じゃなくてグリーンリバーに住んでる奴らが居るとこ。俺が区画案を出して、改造済みの魔物たちが作った公園や家が沢山あるんだ。あと学校も作ったり図書館も……なんで笑ってんだよチビ」
「コーは全然悪い人じゃないんだなーって思っただけ。どうして悪ぶってるの?」
「ぶってるんじゃなくってほんとに悪かったの!ま、長く生きてるから暇つぶしってとこかな。ここに住みたいって奴らは年々増加してんだけど、今は規制かけてんだ。人口は分散させないよな」
意外と色々なことをちゃんと考えているコハクに抱かれて公園に目を遣ったラスは、滑り台やブランコで遊んでいる子供たちと、すぐ傍で立ち話をしているお母さんたちと、そして立ち話に加わっているエプロンをつけた魔物たちの光景に目を丸くした。
人と魔物が共存している街は、ここしかない。
またコハクが“悪”の部分を取り除いた魔物たちは本当によく働き、人々の役に立つために頑張っている。
こうしてエプロンをつけた魔物たちと立ち話ができたりするのも、この街ならではの光景だ。
「コー、小さな一軒家に住むのもいいね。屋根裏部屋があって…小さな庭があって…」
「そりゃすぐに手配できるけど…小さい家に住んだって困ることになるぜ。すぐ大家族になるんだからさ」
コハクの赤い瞳が優しく和らぎ、ぽうっとなったラスが唇にちゅっとキスをした時――エプロンをつけた魔物たちがコハクとラスに気付き、背筋を正すと深々と頭を下げた。
軽く手を挙げてそれに応えたコハクは、ラスと一緒に小さな家で暮らすのも悪くないな、と妄想シミュレーションをしてにやにやしながらその場を離れて城へと引き返す。
もうすぐ…
もうすぐ、待望の家族に出会える――
完全に区画整理をしているために居住区と観光スポットの区別がはっきりしているため、観光客は居住区に脚を踏み入れることはほとんどない。
だがコハクは敢えて一軒家の立ち並ぶ居住区に脚を踏み入れると、早速子供たちの大きな歓声が耳に聞こえてきた。
「コー、ここはどこ?」
「ここは観光客じゃなくてグリーンリバーに住んでる奴らが居るとこ。俺が区画案を出して、改造済みの魔物たちが作った公園や家が沢山あるんだ。あと学校も作ったり図書館も……なんで笑ってんだよチビ」
「コーは全然悪い人じゃないんだなーって思っただけ。どうして悪ぶってるの?」
「ぶってるんじゃなくってほんとに悪かったの!ま、長く生きてるから暇つぶしってとこかな。ここに住みたいって奴らは年々増加してんだけど、今は規制かけてんだ。人口は分散させないよな」
意外と色々なことをちゃんと考えているコハクに抱かれて公園に目を遣ったラスは、滑り台やブランコで遊んでいる子供たちと、すぐ傍で立ち話をしているお母さんたちと、そして立ち話に加わっているエプロンをつけた魔物たちの光景に目を丸くした。
人と魔物が共存している街は、ここしかない。
またコハクが“悪”の部分を取り除いた魔物たちは本当によく働き、人々の役に立つために頑張っている。
こうしてエプロンをつけた魔物たちと立ち話ができたりするのも、この街ならではの光景だ。
「コー、小さな一軒家に住むのもいいね。屋根裏部屋があって…小さな庭があって…」
「そりゃすぐに手配できるけど…小さい家に住んだって困ることになるぜ。すぐ大家族になるんだからさ」
コハクの赤い瞳が優しく和らぎ、ぽうっとなったラスが唇にちゅっとキスをした時――エプロンをつけた魔物たちがコハクとラスに気付き、背筋を正すと深々と頭を下げた。
軽く手を挙げてそれに応えたコハクは、ラスと一緒に小さな家で暮らすのも悪くないな、と妄想シミュレーションをしてにやにやしながらその場を離れて城へと引き返す。
もうすぐ…
もうすぐ、待望の家族に出会える――