魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
腕の中に戻ってきたベビーの頬をちょんちょんと突いたラスは、おもむろにネグリジェの胸元のリボンを緩めてお乳を与えようとしたので、コハクを除く男性陣は慌てて目をそらしてその光景を回避した。
「こらチビ!俺以外の男が居んのに、む、む、胸なんか見せんなよ!」
「でもお乳あげないと。ベビーはお乳しか飲めないんだから仕方ないでしょ」
妊娠してからより豊かになった白い胸が露わになると、デスの腕を引っ張って立たせたリロイはけしてラスの方を見ないようにしながら耳を赤くして一路ドアの方を目指した。
「ぼ、僕たちは違う部屋に居るから。また後で来るから赤ちゃんを見せてね」
「うん、わかった。コー、ベビーベッド用意しなきゃ」
「ああ、そうだな、すぐ準備させっから」
その間ソフィーとティアラとグラースは、無意識にラスの胸を手でまさぐって吸い付いたベビーを見てきゅんとしていた。
黒髪で色白のベビーはまさしく父親のコハクそっくりになるだろう。
ということは…女たらしでヘンタイな性格になるかもしれないので、それだけは断固阻止しようと考えていた面々は、ベッドの傍に椅子を引き寄せてラスに笑いかけた。
「ラス似の子だったらよかったのに。性格も魔王に似ると大変なことになるから、ラスが率先して育てた方がいいと思うの」
「ふざけんなよボイン。俺だって最初はチビ似の女の子がいいって思ってたけど、こいつが生まれた途端そんなんどうでもよくなったし。…てか親子水入らずの時間が欲しい!お前ら出てけよな」
コハクたちがわいわい話している間、ラスはお乳を一生懸命飲んでいるベビーをずっと見つめていた。
この子がずっとお腹の中に居て、生まれ落ちた瞬間から元気な産声を上げて、そして今お乳を飲んでくれている――
紅葉よりも小さな手に人差し指を持っていくと、きゅっと握ってきた。
ティアラたちが部屋を出て行った時、突然ぽろっと涙が零れて、コハクが慌ててラスの頬に触れておたおたした。
「どうした!?まだ痛むか?すぐ医者を…」
「違うの…違うの、コー…。嬉しいなって思ったの…。私…赤ちゃん生んだんだよ。コーと私の赤ちゃん…。コー、家族ができたよ。素敵な体験をさせてくれて…ありがとう…」
「…チビ……ちょ、やばい、目から水が…」
もらい泣きしてしまったコハクは、乱暴に目じりを拭いながら、ラスの頭を抱きしめた。
「こらチビ!俺以外の男が居んのに、む、む、胸なんか見せんなよ!」
「でもお乳あげないと。ベビーはお乳しか飲めないんだから仕方ないでしょ」
妊娠してからより豊かになった白い胸が露わになると、デスの腕を引っ張って立たせたリロイはけしてラスの方を見ないようにしながら耳を赤くして一路ドアの方を目指した。
「ぼ、僕たちは違う部屋に居るから。また後で来るから赤ちゃんを見せてね」
「うん、わかった。コー、ベビーベッド用意しなきゃ」
「ああ、そうだな、すぐ準備させっから」
その間ソフィーとティアラとグラースは、無意識にラスの胸を手でまさぐって吸い付いたベビーを見てきゅんとしていた。
黒髪で色白のベビーはまさしく父親のコハクそっくりになるだろう。
ということは…女たらしでヘンタイな性格になるかもしれないので、それだけは断固阻止しようと考えていた面々は、ベッドの傍に椅子を引き寄せてラスに笑いかけた。
「ラス似の子だったらよかったのに。性格も魔王に似ると大変なことになるから、ラスが率先して育てた方がいいと思うの」
「ふざけんなよボイン。俺だって最初はチビ似の女の子がいいって思ってたけど、こいつが生まれた途端そんなんどうでもよくなったし。…てか親子水入らずの時間が欲しい!お前ら出てけよな」
コハクたちがわいわい話している間、ラスはお乳を一生懸命飲んでいるベビーをずっと見つめていた。
この子がずっとお腹の中に居て、生まれ落ちた瞬間から元気な産声を上げて、そして今お乳を飲んでくれている――
紅葉よりも小さな手に人差し指を持っていくと、きゅっと握ってきた。
ティアラたちが部屋を出て行った時、突然ぽろっと涙が零れて、コハクが慌ててラスの頬に触れておたおたした。
「どうした!?まだ痛むか?すぐ医者を…」
「違うの…違うの、コー…。嬉しいなって思ったの…。私…赤ちゃん生んだんだよ。コーと私の赤ちゃん…。コー、家族ができたよ。素敵な体験をさせてくれて…ありがとう…」
「…チビ……ちょ、やばい、目から水が…」
もらい泣きしてしまったコハクは、乱暴に目じりを拭いながら、ラスの頭を抱きしめた。