魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
緊張して正座してしまったラスは、隣にコハクが腰掛けるとそれを感づかれたくなくてまくし立てた。


「あ、あのっ、ベビーは今どうしてると思う?ちゃんと寝てるといいんだけど、私が抱っこしてあげないとなかなか寝ないから心配なの。…あ、ちょっと今から様子を見に…」


「チビ」


腰を浮かしたラスの腕を優しく掴んだコハクは、半開きの唇を寄せてラスの頬にキスをした。

逃れられない、と悟ったラスは、コハクの胸にしがみ付いて、細い身体に腕を回した。


「私…緊張してるの。はじめての時だってこんなに緊張しなかったのに…」


「俺はチビを抱く時いつも緊張してるぜ。今だって手が震えるし、チビを壊さないようにするので必死なんだ」


「コー…うん…ありがとう。私を壊されちゃうのはいやだけど…でもコーの好きなようにしていいよ」


「マジでか。じゃあ…激しくしていっか?」


「…うん…わかった…」


バスローブのベルトに手がかかり、ゆっくりとコハクに押し倒された。

覆いかぶさるようにして頭上から見下ろされて、頭のてっぺんからつま先まで視線で愛されて、思わず両手で胸を庇うと、コハクの唇が尖った。


「隠すの反対!チビ…全然太ってなんかねえから安心しろよ。なんだこれ…前より痩せたんじゃねえのか?綺麗だ…」


唇が首筋を優しく這い、徐々に下がっていく。

息を上げながらコハクの頭を抱きしめたラスは、両手を顔の両脇に持っていかれて封じ込められながら、こんなにも美しい男を独り占めできている喜びに身体が震えた。


「コー…っ、私が、死なない身体になっても…飽きて捨てたり、しないでね…?」


「捨てたりしねえよ。チビこそ俺を捨てるなよ。絶対だからな」


コハクが作り出すリズムに声を上げながら、何度も何度も頷いてそれに応えると、コハクの頬に伝った汗がぽとりと落ちて首筋に跳ねる。

暖炉の炎に照らされるコハクの細いが均整のとれた身体はセクシーで、目を瞑っているのがもったいなくてずっと見開いていると、笑われた。



「なーにガン見してんだ。じゃあ俺もお返しにチビをガン見…」


「や、やだ駄目っ。コー…コー…!」


「チビ…ずっと愛してる。ずっと。うざいくらい言ってやる。もっともっと家族を作ろう。もっと沢山…」


「うん…うん…!」



それからは朝までずっとずっと――コハクとラスはもみくちゃになって、愛し合い続けた。
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