魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「……ラス……綺麗だった……」
隣のデスの部屋に移動すると、まずデスがぽつりとそう漏らした。
リロイとティアラは顔を見合わせながらソファに座り、最近ローブを着ていないデスを見つめて微笑んだ。
「ラスは昔から美姫で有名だったから当然だけど、最近はもっと綺麗になったなあって僕も思うよ」
離れていると余計にそう感じる。
今までは近くに居すぎたせいか、そう感じることはあまりなかったが…久々に会ったラスは以前よりもずっとずっと、綺麗になった。
「さっき手の中の水晶を見せてもらったの。きらきらしててすごく綺麗だったわ。あなたもそう思うでしょ?」
話しかけないとほとんど喋らないデスに気を遣ったティアラがそう問いかけると、デスはこくんと頷いて昨夜を振り返った。
“ラスと2人きりになりたいから”とベビーを預かったのだが、全然泣かないし、抱っこしているだけで嬉しそうにへにゃへにゃ笑っていた。
おむつの替え方はコハクとラスにしっかり教えられていたので手際よく替えることができたが、残念ながらお乳だけは出ない。
お腹いっぱいにして預かったはいいものの、すぐにお腹を減らすベビーには粉ミルクを飲ませたが、その時だけは唇を尖らせて少しだけ不機嫌になった。
だがまた抱っこしてやると可愛い声を上げて喜び、一緒に添い寝をしてやると、その後は爆睡したまま朝まで起きなかった。
「……あの水晶……お守り……。…強い力……」
「生まれた時から普通じゃないなんて先が思いやられるけど…あの子と一緒に遊べるように僕たちも早く子供を作ろうか」
「ちょ…やだやめてっ。でもそうね…あの子と歳が近いといじめられてしまうかもしれないから、私は反対だわ」
「ああ、ここに居たのか。久しぶりだな」
相変わらずきりりとして颯爽としているグラースが巡回から戻って来ると、デスの肩が一瞬緊張したかのように動いたのをリロイは見逃さなかった。
元々グラースはデスを気に入っていたが…リロイの目からみても、デスはラスに惚れている気がしていた。
「…グラースはいい人はできたの?」
「いや、居ない。強いて言えば、そこの死神がラスを諦めるのを待っている位なものだな」
「………待っても…無駄…」
「影と張り合ったとしても無駄だと思うけど。あいつは絶対にラスを離さないから」
「………奪ったり……しない…」
心底からの言葉だった。
笑みを漏らしたデスの表情は、晴れやかだった。
隣のデスの部屋に移動すると、まずデスがぽつりとそう漏らした。
リロイとティアラは顔を見合わせながらソファに座り、最近ローブを着ていないデスを見つめて微笑んだ。
「ラスは昔から美姫で有名だったから当然だけど、最近はもっと綺麗になったなあって僕も思うよ」
離れていると余計にそう感じる。
今までは近くに居すぎたせいか、そう感じることはあまりなかったが…久々に会ったラスは以前よりもずっとずっと、綺麗になった。
「さっき手の中の水晶を見せてもらったの。きらきらしててすごく綺麗だったわ。あなたもそう思うでしょ?」
話しかけないとほとんど喋らないデスに気を遣ったティアラがそう問いかけると、デスはこくんと頷いて昨夜を振り返った。
“ラスと2人きりになりたいから”とベビーを預かったのだが、全然泣かないし、抱っこしているだけで嬉しそうにへにゃへにゃ笑っていた。
おむつの替え方はコハクとラスにしっかり教えられていたので手際よく替えることができたが、残念ながらお乳だけは出ない。
お腹いっぱいにして預かったはいいものの、すぐにお腹を減らすベビーには粉ミルクを飲ませたが、その時だけは唇を尖らせて少しだけ不機嫌になった。
だがまた抱っこしてやると可愛い声を上げて喜び、一緒に添い寝をしてやると、その後は爆睡したまま朝まで起きなかった。
「……あの水晶……お守り……。…強い力……」
「生まれた時から普通じゃないなんて先が思いやられるけど…あの子と一緒に遊べるように僕たちも早く子供を作ろうか」
「ちょ…やだやめてっ。でもそうね…あの子と歳が近いといじめられてしまうかもしれないから、私は反対だわ」
「ああ、ここに居たのか。久しぶりだな」
相変わらずきりりとして颯爽としているグラースが巡回から戻って来ると、デスの肩が一瞬緊張したかのように動いたのをリロイは見逃さなかった。
元々グラースはデスを気に入っていたが…リロイの目からみても、デスはラスに惚れている気がしていた。
「…グラースはいい人はできたの?」
「いや、居ない。強いて言えば、そこの死神がラスを諦めるのを待っている位なものだな」
「………待っても…無駄…」
「影と張り合ったとしても無駄だと思うけど。あいつは絶対にラスを離さないから」
「………奪ったり……しない…」
心底からの言葉だった。
笑みを漏らしたデスの表情は、晴れやかだった。